霍乱

     ○そうべえは鬼が霍乱して生還
(そうべえはおにがかくらんしてもどる)
じごくのそうべえ
       ○霍乱やまずは富山の置き薬    秋甫
       ○霍乱に腹巻まいて寝かせらる   々
       ○霍乱の子のプール熱で決着す   々
 熱はないが、お腹の調子がよくない。暑さで胃腸も弱っているのに食物は定期的に平気で送られてくるから終に悲鳴をあげたのだ。鬼の霍乱とでも言っておこう。
 子供の頃の記憶の夏は兄妹が寝る時には腹巻を絞められたことだ。余り布で作った母の手製の物で兄と異なるのは紐の部分だけだった。ただ腹巻だけくくって転がって寝ていたように思う。
 扇風機もなかったし、蚊帳を張って、家のあらゆる所は開け放って寝たのである。寝苦しいから360度まわりは朝まで何度も繰り返していたに違いない。漸く涼しくなって目が覚める頃には蚊帳の四隅の一つはたいてい鉤が外れて垂れさがっていた。