春めく

     ○今朝の鐘目覚めし部屋の春めくや
(けさのかねめざめしへやのはるめくや)
明け六つの鐘
 実相寺の鐘は毎朝5時50分頃に撞かれる。早春の今の時期は漸く空が明るくなり始めるから、鐘の音を目覚まし時計にして生活を開始するようにしているのである。ところが最近は二人の堂守りが交代に鐘を撞いている風であった。それまでは代々の住職が家内仕事で勤められていたのだった。
 ある朝から、おや、今朝の鐘の音は元気が無い?。今朝は間にリズムが無い?と、思い始めて朝の目覚めがザワザワするようになった。何十年も聞き慣れている緩やかに平安な目覚めを促がしてくれるものがないのであった。目覚めのざわつきはまだまだ解消せれそうにない。