春一番

     ○竹藪のゆうさりゆさり春一番
(たけやぶのゆうさりゆさりはるいちばん)
春一番が吹いた
 先週読売テレビの開局60年記念企画で「天才を育てた女房」というスペシャルドラマがあったらしい。夜は早いので知らなかったがそれを今日DVDで観た。外は昨日からの春一番がまだ居残っていてゴォウゴォウと唸っていた。なんだか久しぶりに泣けた。
あれほどひどい貧乏ではなかったと思うけれど、身内にも学者と暮らしている女房がいるので身につまされたのだ。
 我が家の本棚にも岡潔の著書は3冊ある。春宵十話、紫の火花、春風夏雨。数学はインスピレーション型と情緒型があるとかで、日本人は情緒型数学だと言って、本人自身も晩年は大学で民俗学の方向の授業をされていたようである。エッセイなど書かれているがそれがさっぱり歯がたたない。夫がこんな本を読んでいたのかと思うと、それなりに切ない。
 「天才を殺した女房」も世の中には沢山いただろうなと思ってしまうが、反面、女房に駄目にされるような才能なんて元々凡才なのだと、ソクラテスの例をもってまずは胸を撫でおろしている。