冬の夕暮れ

     ○ブランコは漕ぐべし冬の夕暮れは
(ブランコはこぐべしふゆのゆうぐれは)
森と湖畔の公園
 このところ家の近辺を歩くのに少々退屈していた。夜明けの冷気もあまりあらたかに感じられず、むしろ重荷になっていたのだ。冬は明るい光の中で歩く方が楽しいに違いないと思い直した。
 それで川之江の「森と湖畔の公園」という所まで車で走って、その公園の午後の陽光の中を歩くことにした。湖畔といっても水は枯れて湖底を現わしていたが、公園の周辺は冬も落ち葉などの手入れがされていて見通しもきくし、鳥のさえずりなど聞きながらまずまず快適に歩いた。山の端の高台にぽつんとぶらこが下がっていた。それは下に設えられた物より座り台が明らかに高かったので年長者向けにあったのだろう、お尻に当ててみると屈まずヒットしたのである。足で地面を蹴る位置も申し分ない。何十年ぶりかで自分のためのブランコを漕いだ。
       ○鞦韆は漕ぐべし愛は奪うべし   三橋鷹女