草の穂

     〇草の穂の夢み心地に昼の月
(くさのほのゆめみここちにひるのつき)
15歳の一人旅
 久しぶりに電話を入れてみると娘は留守で孫が出た。彼の声は最近益々低音域に幅が出てきてゆったりと心落ち着かせるものがあった。Skypeしようよと、言ってみた。丁度学校から戻ったばかりで汗をかいたのか彼はSkypeに上半身裸になって映った。やはり胸が痛む。そんなこちらの気持ちを見破るようにカメラに向かって横向きになってぐいっと胸を張ってみせた。思わずギョッとした。大きなタラ(魚)の鰓を引っかけてグイッと持ち上げたような恰好に彼の胸は大きく括れたのである。
 この連休の一日、彼は一人で天橋立へ行ってきたという。鈍行電車に乗って京都から片道4時間半かけたひとり旅で何を感じてきたのだろう。