海月

     ○波打ちに犯され海月裏返る
(なみうちにおかされくらげうらがえる)
海月に刺される
 孫が帰省して下の海で泳いだのは6年生の夏だったから、もう4年前のことになる。波打ち際まで泳いでもどってきた時、あっ!といって飛び上がった。胸を斜めにクラゲに刺されていた。みるみる赤く腫れあがったものだ。監視員のところに行って水道水を胸にかけてもらったが刺された部分が燃え上がってるように見えた。
 どうもその年は孫にとって帰省は災難つづきだった。夜は夜で、蒲団の中で赤い大きなムカデに脛を噛まれたのだ。
 その見るからに痛手の大きそうな災難を受け止める孫の姿に男に成長しつつあることを実感したものだった。