○柿の花侏儒の頭蓋と鬼房は
(かきのはなしゅじゅのずがいとおにふさは)
侏儒の言葉
佐藤鬼房の句に ○柿の花地に落ち侏儒の頭蓋なる というのがあります。柿の花が受精して小さな実をつけた形は人の頭蓋のように見えます。それを侏儒の頭蓋と表現したのです。
侏儒とは小人という意味ですが、芥川龍之介の作品の「侏儒の言葉」は有名です。
「侏儒の祈り」
わたしはこの綵衣を纏ひ、この筋斗の戯を献じ、
この太平を楽しんでゐれば不足のない侏儒でございます。
どうかわたしの願ひをおかなえ下さいまし。
どうか一粒の米すらない程、貧乏にして下さいますな。
どうか又熊掌にさへ飽き足りる程、富裕にもして下さいますな。
.......。
佐藤鬼房はこの句を詠んだ時、龍之介の「侏儒の言葉」は念頭にあったことでしょう。