春潮

     ○春潮や十五の君の揺蕩ひて
(しゅんちょうやじゅうごのきみのたゆたひて)
十五歳の孫
 今年府立高校へ入学した孫がいます。十五歳です。目の中に入れても痛くなかった孫が今や背は、はるかに追い抜かれ、地の底から響いてくる蟇蛙のような声で話します。
 最近、声と共に彼の顔も変化しました。母親が言うには、ニキビを気にして毎朝丹念に顔を洗ってから出るらしく、また自分の顔が気に入らなくなったとも言っているとか。
 「男子己の顔に責任を取れ」洗顔より、己の心を磨くことの方が大切なのにね。 
 やれやれ。