冬安居

     ○冬安居明けて福井の僧来る
(ふゆあんごあけてふくいのそうきたる)
永平寺の雲水
 「永平寺の僧ですが、托鉢にお四国を回らせてもらっています。般若心経を唱えさせてください」と言って戸口に立った。1,2年に一度くらいは、お遍路さんがひょっこり戸を叩いてくれる。私にとってこれくらいの頻度が最適なのだろうか、雲水さんの顔には道を求める純粋なものを感じることができた。
 お布施をわたすと頭陀袋の中から、般若心経を書いた小さな額を出して、拙い文字ですがこれを貰ってくださいと言ってくれた。
 般若心経を詠むほんの僅かな間であったが、暖かい気持ちに包まれたのである。