水中花

     ◦水中花紙人形を着せ替える
(すいちゅうかかみにんぎょうをきせかえる)
四国地方梅雨明け
 川又直樹「火花」の芥川賞が話題になっている。「文学界」に発表された作品だったらしい。「文学界」という雑誌がまだ存在していたことに新鮮な気持ちになった。田舎の店頭からはとっくの昔に姿を消していたし、芥川賞も年2回その時々にニュースで耳にするくらいだった。平野啓一郎の「日蝕」を読んで以来、芥川賞作品には触れていない。
 かっての文学少女は今は、17文字にあれこれ苦労している。小説という大河に比べると随分と水の流れがこころもとないジャンルであるが、それぞれのレベルで手軽に自己満足できる。殊に老年の手慰みには最も好都合な世界かもしれない。
     ◦いきいきと死んでいるなり水中花  櫂美智子