悴む

     ◦易の燭へ生命線の悴みぬ
(えきのひへせいめんせんのかじかみぬ)
街の占師をテーマにして3連続作ってみました。
 現実に呼び止められた経験は数年前の渋谷の街でした。私は文化村である「ふじ子・ヘミング」のコンサートを聴くためにしっかり歩いていたと思うのですが、横から出て来た一見上品そうな婦人に歩みは止めない格好で、
 「ちょっとお時間を頂けませんか?お顔に○○の相を拝見しました」と声をかけられたのです。突然相手をドキンとさせておいて、次の手で虜にする常套手段だったのでしょう。
 子供の頃母と一緒に街を歩いていた時、母を手招きで呼び止めて、「2、3年の命しかないよ」と言った男がいました。その言葉は母より私を驚かせ、しばらく恐怖に怯えたほどです。結局母は長生きはできませんでしたが、それから20数年は一緒に暮らしました。
 先週松山に出る機会があって、地方都市ながら普段の私の街とは違う人混みを経験したものですから、都会の雰囲気が誇張されて感じられたのでしょう。