葡萄

     ○一房の葡萄の箱の仰々しい
(ひとふさのぶどうのはこのぎょうぎょうしい)
山ぶどう
       ○葡萄棚に木漏れ日ゆたか実のなかり   秋甫
       ○ぶどう好きとたとへ孫に言われても    々
       ○山ぶどう黒い順から甘かりき       々
 山ぶどうは食べられるが野ぶどうは食べられない。めくらぶどうというのもあるらしい。
宮沢賢治の作品に「めくらぶどうと虹」という作品があった。高価なぶどうは買えないからせめて賢治の作品を読んで心ゆたかになろうと思う。
 「めくらぶどうと虹」
 城あとのおおばこの実はむすび、赤つめ草の花は枯れてこげ茶色になり、畑の粟は刈られました。..... 崖や堀には、まばゆい銀のすすきの穂が、いちめん風に波立っています。その城あとの真ん中に、小さな四っ角山があって、上のやぶには、めくらぶどうの実が、虹のように熟れていました。....東の灰色の山脈の上を、つめたい風がふっと通って、大きな虹が、明るい夢のようにやさしく空にあらわれました。そうです。きょうこそ、ただの一言でも、虹とこばをかわしたい。。。めくらぶどうは、まるでぶなの木の葉のようにプリプリふるえて、かがやいて、息がせわしくて思うようにものが言えませんでした。「どうか私のうやまいを受けてとってください。」