藜の杖

     ○仙人も藜の杖を欲るらしき
(せんにんもあかざのつえをほるらしき)
四国地方梅雨入り
   ○宿りせん藜の杖になる日まで   芭蕉
 芭蕉が岐阜の妙照寺に滞在したときに詠んだ句である。藜は葉を食用にするために中国から持ち帰ったと言われる。若い葉を食すが法蓮草のような味がするとか、一方藜の羹(藜の吸い物)は粗末な食事という代名詞にも使われているのである。
 芭蕉のこの句は妙照寺のおもてなしが結構なものであったから藜が杖になるまで滞在したいという意味らしいが、藜の羹ってこともあるからね。藜は成長が早い1年草で2m近くに伸びる、それを乾燥させたものが杖になる。藜の杖は軽くて丈夫なので、今でも高級品らしい。
 四国地方は梅雨に入ったという。