櫨の実

     ○櫨の実のはしやぐ枝を雨垂るる
(はぜのみのはしやぐえだをあめたるる)
大雨の投票
 大雨が降っている中投票に出たが、投票場のあの広いスペースを取り囲むように並んでいる選挙管理委員に見つめられての移動はいつもちょっと苦手なものだった。その上この雨だと地方区の投票と政党の投票箱を往ったり来たりする間、自分一人が晒し者になりかねないと憂鬱な気分だった。
 しかし、思いのほか会場は次々と投票に来る人で賑わっていたのである、足の悪い老人なども支えられて来ている。話声こそたたなかったが、それやあれやは気分をときはぐしてくれた。