栃の実

     ○栃の実やパリの舗道に拾われし
(とちのみやパリのほどうにひろわれし)
セイヨウトチノキ
 春、パリの舗道は栃の花が盛りであった。
ちょっと気取ってみたが、この春にフランスへ行ったこともパリの街路樹のマロニエの木が花盛りだったのもすべてこの目にした現実で、そういう世の中になっているのである。
 それが秋の出来事なら、栃の実の一つ二つはポケットに忍ばせて帰っていたでしょう。パリのマロニエ(栃)の木に実がなるのかどうかしべてみると、やはり免疫検査未通過で持ち帰った人がいて庭に植えると芽が出たという。
 日本では街路樹に銀杏の木が植えられているが、秋に実をつけて舗道に落ちると臭いと苦情があるのか雄の木を選別して植えるらしい。それでも何本かに一本は実をつけてギンナンを降らしているということだ。