行く秋

     ◦行く秋の風が転がすもの拾ふ
(いくあきのかぜがころがすものひろう)

 娘のいるマンションは道を挟んで北に森があって、竹と楢の木が秋風にサラサラ葉を鳴らしている。その風に乗って時折木の実がコロコロ坂道を転がって来る。大きく丸いのや、細長いもの、その形はさまざまだった。
 市の森は管理人が週何回か帚で歩道の掃除をして回るから、その落とし物は
殆ど無かったが、それでも見てみるとフェンスの内に数個拾うことは出来た。持ち帰って戯れに顔を描いて並べてみると、チンパンジーの赤ちゃんや、オランウータンなど団栗の形に応じた個性が出来上がった。