厄日

          〇二百二十日台風二つたてつづく

            (にひゃくはつかたいふうふたつたてつづく)

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           〇蝋燭の灯に缶詰開けしジェーン台風    秋甫

           〇ジェーン台風マリリンもオードリもゐて  々

           〇草上の卓の絆や台風一過         々

 六歳の時に体験したジェーン台風は今でもしっかり覚えている。その春から小学一年生で、それまで田舎の祖父母の家で疎開生活を続けていたのを、初めて両親と一緒に暮らし始めたのである。肌を温め合える距離に両親と兄がいる生活がどれほど幸せに満ちていたか。何も怖いものはなかった。停電で蝋燭の灯をたよりにまぐろのフレークをにぎり飯に添えて食べた、あの時の味までよみがえる。翌朝裏庭が妙に明るいから出てみると、長屋の塀が全部なぎ倒されていて、5軒が大きな一軒家になっていたのだ。一辺に大家族になったような気持ちだった。何と楽しかったことか。しばらく、また台風が来ないかと待ちどうしかった。

 今年は9月の初旬にたてつづけに、しかも全く同じコースに9号、10号の台風がやってきた。