○楢橡みな若葉して山笑う
(ならくぬぎみなわかばしてやまわらう)
○御室から愛宕へ登る若葉かな 秋甫
○東山寝たる姿に若葉着て 々
○農校の跡地通れば桑若葉 々
ふるさとは遠くにありて想うものだろうか、ときどき京都の光景が心に浮かぶ。
御室小学校の頃、遠足だったかそれとも全校生徒の行事だったのか、一度だけ愛宕山に登った記憶がある。嵐山や広沢の池などでの桜の花見は数々覚えているが、その愛宕山に登ったのは桜の春ではなく秋ではなかったかと思うのだ。山はお寺の山門をぬけて細い山道に入った。「汽笛一声新橋をはや我汽車は離れたり愛宕の山に入り残る月を旅路の友として」鉄道唱歌にある愛宕の山はあれ以来長くこの山のことだと信じて疑わなかった。改めてその一節をしらべてみると東京都港区になるようだった。
右京区に住んでいたので毎日知らず知らず眺めていたに違いない山であった。