濁り酒

     ○濁り酒欅揺らせる風とゐて
(にごりざけけやきゆらせるかぜといて)
松ヶ崎にて
       ○故郷の期間限定濁り酒           秋甫
       ○濁り酒早稲田に鎌の入れらるる       々
       ○濁酒(どぶろく)を片膝立ててオモニ注ぐ  々
 3階の窓に欅の木の葉が揺れている。ショウルームのようなガラス窓は、床から一杯に上へ開かれていて、リビング兼食卓の椅子の足もとから広がる眺めは、居住のマンションには珍しく旅情が感じられる。子供たちもきっとこの部屋からの眺めが気に入って、ここに決めたのだろう。洒落た見栄えであるが、京都特有の底冷えには最も不適というべきか。