イタリアへの旅(ローマ)

6月1日
トスカーナの辺りを通過する車窓には丘陵が広がってその所々に牧草を刈って大きな車輪の様にまとめたのが転がっています。発酵させて家畜の餌にするのですが、別の所では放牧された牛や羊たちがのんびり草を食んでいます。ここでは農作業のトラクラーに乗るのは若者でした。後継者問題はない様です。マテーラの洞窟住居街の郊外は底地が岩なのでしょう。トスカーナと同じなだらかな丘陵なのに、西暦以前から不毛のままに放って置かれたのでしょう。映画「パッション」にゴルゴダの丘として撮影されたと言うことです。居住区を含めてイエスの時代が彷彿されました。小高い丘の上に経って民衆に説法する姿が現実に見える様です。

6月2日はこちらのナショナルホリデーとかで、ローマは祝日のイベントがあり、要人たちも参加しているのか警護の軍隊やポリスたちが街のあちこちにものものしい姿を見せていました。バチカンの中は世界各国から来た観光客で溢れていましたが、そんな中で市国の人たちの営みは粛々と運ばれているのでしょう。彼らの日常の一こまがそこだけ清らかな風が吹いている様に感じられました。システィーナ礼拝堂の「最後の審判」の部屋でコンクラーベが行われ、ベネディクト16世が誕生したのです。大聖堂の中で熱心にお祈りをしている僧をポカンと口を開けて見ていたら、私の頭に手を置いて、祝福の言葉を唱えてくれました。バチカンに来た大きな収穫だったと思っています。ホテルではワインを開けて、グループの「最後の晩餐」会を楽しみました。