2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

雨蛙

○魁ける梅雨入りの前の雨蛙 (さきがけるついりのまえのあまがえる) ○雨蛙バーチャルののど自慢かな 秋甫 ○雨蛙と深夜ラジオに朝が来る 々 ○雨蛙ダービーのファンファーレ鳴る 々

青葉冷

○青葉冷村の鎮守の大樟に (あおばびえむらのちんじゅのおおくすに) ○頭痛薬効き始めるや青葉冷 秋甫 ○青葉冷小さな鯒を釣り上げる 々 ○青鷺の山田に餌ほる青葉冷 々

豆飯

○豆飯に糸引いてゐた昔かな (まめめしにいとひいていたむかしかな) ○いつの年齢か豆飯の好きになりけり ○青豆と米粒光る豆ごはん ○豆ごはん一人に炊いて余しなし

芥子坊主

○芥子坊主何か懺悔の剃り頭 (けしぼうずなにかざんげのそりあたま) ○あの花も悔い改めて罌粟坊主 秋甫 ○親鸞の悪人正機芥子坊主 々 ○伴天連の頭に似たる罌粟坊主 々

青葉潮

○青葉潮サビキの針の横に鰡 (あおばじおサビキのはりのよこにぼら) ○登校の児を待つ渡船青葉潮 秋甫 ○釣り船の浦に回りし青葉潮 々 ○久礼港に藁燃す炎鰹潮 々

小満

○川遡る小満の鰡跳ねし (かわさかのぼるしょうまんのぼらはねし) ○小満や帰農の男草生やす 秋甫 ○小満や村の田んぼに水満ちて 々 ○小満の田に青鷺の寛ぎし 々

蝙蝠(かわほり、蚊喰鳥)

○屋上のビアガーデンに蚊喰鳥 (おくじょうのビアガーデンにかくいどり) ○大阪のかわほり低くビルの裏 秋甫 ○蝙蝠やひらひら闇を計りをり 々 ○かわほりの飛び交う闇に立ち尽くす 々

夕凪

○夕凪や窓を開きて米洗う (あさなぎやまどをひらきてこめあらう) ○夕凪て碇泊船の明り点く 秋甫 ○夕凪や精練の火消えて久し 々 ○夕凪て怠惰抜け出すすべもなし 々

薄暑

○飼い犬の水呑む音や夕薄暑 (かいいぬのみずのむおとやゆうはくしょ) ○船溜に寡婦も出でぬ夕薄暑 秋甫 ○水やれば幽かな風に夕薄暑 々 ○夕薄暑地下入り口に吸い込まれ 々

新茶

○新茶淹れる緑茶ソムリエ茶畑に (しんちゃいれるりょくちゃソムリエちゃばたけに) ○舌の上に転がせという新茶かな 秋甫 ○新茶出て番茶の出頃待ってゐる 々 ○山城に三番茶刈る音のして 々

麦の秋

○園児らの声の音符や麦の秋 (えんじらのこえのおんぷやむぎのあき) ○麦秋や疫病の終息見えぬ 秋甫 ○寝かされて注射ごっこも麦の秋 々 ○麦秋や黄色い鴉飛び立ちぬ 々

姫女苑

○教卓に花当番の姫女苑 (きょうたくにはなとうばんのひめじょおん) ○破れ家の塀より覗く姫女苑 秋甫 ○氏と育ち揃わぬものよ姫女苑 々 ○姫女苑菊のご紋のお堀にも 々

矢車草

○あの日見たトルコの空と矢車草 (あのひみたトルコのそらとやぐるまそう) ○風みせて矢車草の揺れにけり 秋甫 ○絨毯と空とトルコの矢車草 々 ○アザーンの流れる丘や矢車草 々

きゃら蕗

○きゃら蕗の今年は甘め仕立てかな (きゃrぶきのことしはあまめしたてかな) ○きゃら蕗の老舗の味を盗みけり 秋甫 ○伽羅蕗に独り茶漬けの昼餉かな 々 ○伽羅蕗と山椒の香の相性よし 々

○鎧着て肝に毒なき鯒白身 (よろいきてきもにどくなきこちしろみ) ○鯒のぶすその気安さの白身かな 秋甫 ○見た目に非ず鯒の身の淡泊に 々 ○身二つに松葉おろしの目鯒かな 々

穀象虫

○穀象の米紙魚の紙喰うさだめ (こくぞうのこめしみのかみくうさだめ) ○曝されて穀象虫の里帰り 秋甫 ○故郷の米に穀象親しめり 々 ○日に曝す穀象虫の近江米 々

蚕豆

○蚕豆の莢五十度に空仰ぐ (そらまめのさやごじゅうどにそらあおぐ) ○そら豆の空あこがれるもの数多 秋甫 ○この郷の蚕豆好きや青臭し 々 ○蚕豆の莢親の愛護の容して 々

山椒魚

○山椒魚(はんざき)の頭閊えて穴の中 (はんざきのあたまつかえてあなのなか) ○奥峪に山椒魚の子守唄 秋穂 ○山椒魚コロップ栓の大頭 々 ○はんざき(山椒魚)の汽水を越えし太古かな 々

樟若葉

○義経の小さき鎧や樟若葉 (よしつねのちさきよろいやくすわかば) ○御神馬にさざめく光樟若葉 秋穂 ○階を数えて登る樟若葉 々 ○村の子に義農の話樟若葉 々

若楓

○楓若葉フレディーのいのち蘇る (かえでわかばフレディーのいのちよみがえる) ○寂光院に光あつめし若楓 秋穂 ○若楓いのちの流れ透けて見え 々 ○重なりの深く翳るや若楓 々

著莪の花

○著莪挿してやっぱり著莪のがさつかな (しゃがさしてやっぱりしゃがのがさつかな) ○お喋りで賑やか好きで著莪の花 秋穂 ○山の径脇へ誘う著莪の花 々 ○姫著莪や寂しくはない最御崎 々

母の日

○母の日の京より届くおつけもの (ははのひのきょうよりとどくおつけもの) ○母の日やひとりに淹れぬカプティーノ 秋穂 ○母の日や一人娘に母ふたり 々 ○母の日や降りだしそうな空模様 々

花むぐり

○許せない虫の一つに花むぐり (ゆるせないむしのひとつにはなむぐり) ○木の芽より青き青虫棘掴む 秋甫 ○青虫に芋虫毛虫蝶の色 々 ○腹ぺこ青虫パセリの森を喰い尽くす 々

風五月

○満月の潮のゆたかに五月風 (まんげつのしおのゆたかにごがつかぜ) ○風五月五体投地で帆を立てる 秋甫 ○風五月ジャスミンの香とカノンの音 々 ○五月の風その気にさせるプラタナス 々

松蝉

○松蝉の遠くに鳴きて哀愁の (まつせみのとおくになきてあいしゅうの) ○松蝉や奈良は茶粥の冷える頃 秋甫 ○松蝉と思ひて聞けばすぐ止みぬ 々 ○松蝉の声耳にする昼餉近し 々

踊子草

○アンドゥトロワ/アンドゥトロワ踊子草 (アンドゥトロワ/アンドゥトロワおどりこそう) ○よく見れば嘆く白鳥踊子草 秋甫 ○踊子草風が揺るがすトゥーシューズ 々 ○野一面踊子草の輪舞かな 々

松の芯

○留守宅の庭賑やかに松の芯 (るすたくのにわにぎやかにまつのしん) ○校門に児へのエールや松の芯 秋甫 ○自立する心ね触るる松の芯 々 ○松の芯出て伸びてくる懐疑心 々

聖五月

○光の中種まく人に聖五月 (ひかりのなかたねまくひとにせいごがつ) ○バチカンのピエタの前や聖五月 秋甫 ○聖五月修道僧に祝福受く 々 ○六甲の丘の教会聖五月 々

憲法記念日

○憲法日上も隣家も空家なり (けんぽうびうえもりんかもあきやなり) ○マスクしてゴーグル掛けて憲法日 秋甫 ○ウイルスに占領されし憲法日 々 ○憲法日肥満の体持て余す 々

五月

○池普請五月の風の底満ちる (いけぶしんごがつのかぜのそこみちる) ○自粛する部屋に五月の風通す 秋甫 ○竹の子の径に蹴らるる五月かな 々 ○五月来て青い罌粟描く百寿画家 々