2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧
◦黒船の吃水線高き夏茜 (くろふねのきっすいせんたかきなつあかね) ]
◦蝉時雨一匹去れば遠くなり (せみしぐれいっぴきさればとおくなり)
◦滅びゆく土用太郎のうなぎ哉 (ほろびゆくどようたろうのうなぎかな)
◦夕凪の猫にも会わぬ漁師町 (ゆうなぎのねこにもあえぬりょうしまち)
◦思い出を抜けば溢るるソーダー水 (おもいでをぬけばあふるるソーダーすい)
◦色捨てて煮びたしの茄子となりけり (いろすててにびたしのなすとなりけり)
◦灼熱の列島臍の辺りかな (しゃくねつのれっとうへそのあたりかな)
◦風鈴も簾も提げしまだ暑し (ふうりんもすだれもさげしまだあつし)
◦雉子啼かず斥候のごと歩みけり (きじなかずせっこうのごとあゆみけり)
◦蓮咲くや「死にとうない」と名僧の (はすさくや「しにとうない」とめいそうの)
◦熱帯夜貨車軋ませて海の町 (ねったいやかしゃきしませてうみのまち)
◦音に覚めし海の花火を夢に描く (おとにさむうみのはなびをゆめにかく)
◦水替えて金魚は腹を空かしけり (みずかえてきんぎょははらをしかしけり)
◦朝蝉や翅乾く間の一会かな (あさせみやはねかわくまのいちえかな)
◦西陣の格子の内や鱧の皮 (にしじんのこうしのなかやはものかわ)
◦蝲蛄の両爪あげて哀願す (ざりがにのりょうづめあげてあいがんす))
◦青りんご一個影おく卓の上 (あおりんごいっこかげおくたくのうえ)
◦夏の月アリスの国の夜へ行く (なつのつきアリスのくにのよるへいく)
◦赤腹の呼吸しに上がる田水口 (あかはらのいきしにあがるたみずぐち)
◦海の日の杭深く打つ見張り台 (うみのひのくいふかくうつみはりだい)
◦梅雨茸の留守の庭乗っ取りにけり (つゆだけのるすのにわのっとりにけり)
◦天地の四万六千日の事 (あめつちのしまんろくせんにちのこと)
◦眼帯の人が手招く木下闇 (がんたいのひとがてまねくこしたやみ)
◦雷の未明の寝屋をほしいまま (かみなりのみめいのねやほしいまま)
◦遠雷のうかうかいつか我が頭上 (えんらいのうかうかいつかわがずじょう)
◦原子炉の火をみな落とす団扇かな (げんしろのひをみなおとすうちわかな)
◦人の世に無垢は儚き沙羅の花 (ひとのよにむくははかなきさらのはな)
◦まほろばの葛水すずし盧舎那仏 (まほろばのくずみずすずしるしゃなぶつ)
◦乙女らの白き制服夏椿 (おとめらのしろきせいふくなつつばき)
◦蒼朮を焚き腹の虫治めけり (そうじゅつをたきはらのむしおさめけり)