2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧
◦高砂の翁媼に春埃 (たかさごのおきなおうなにはるぼこり)
◦春うらら指先に打つ血潮かな (はるうららゆびさきにうつちしおかな)
◦ものの芽の待たるるものに山椒かな (もののめのまたるるものにさんしょかな)
◦お涅槃の庫裡に婆らの声大き (おねはんのくりにばばらのこえおおき)
◦いかなごの腹光らせる涅槃西風 (いかなごのはらひからせるねはんにし)
◦馬酔木咲く野に遺賢ある柴扉かな (あせびさくやにいけんあるさいひかな)
◦PM10エッフェル塔の春霞 (PM10エッフェルとうのはるがすみ)
◦芽吹くとき万物愛を漲らす (めぶくときばんぶつあいをみなぎらす)
◦人の世に残り少なしお中日 (ひとのよにのこりすくなしおちゅうにち)
◦鶯の音の定まらぬ里の山 (うぐいすのねのさだまらぬさとのやま)
◦木の芽雨けさ着る物の定まらず (きのめあめけさきるもののさだまらず)
◦喰える漫画家志望にて卒業す (くえるまんがかしぼうにてそつぎょうす)
◦桜ばな標本木の五輪かな (さくらばなひょうほんぼくのごりんかな)
◦トルソーに肩甲骨の余寒かな (トルソーにけんこうこつのよかんかな)
◦遥かなるマヤの絵文字や鳥曇 (はるかなるマヤのえもじやとりぐもり)
◦海峡に集合時間鳥帰る (かいきょうにしゅうごうじかんとりかえる)
◦蓬餅田舎かたぎの色香かな (よもぎもちいなかかたぎのいろかかな)
◦顛末は肩で息する孕猫 (てんまつはかたでいきするはらみねこ)
◦胎の仔を舐めて確かむ猫の恋 (はらのこをなめてたしかむねこのこい)
◦春猫の破れ耳立てて水吞みぬ (はるねこのやれみみたててみずのみぬ)
◦三度目の花は咲くかな震災忌 (さんどめのはなはさくかなしんさいき)
◦恋猫のある日片目で帰りける (こいねこのあるひかためでかえりける)
◦春の菜を乗せて花野やちらし寿司 (はるのなをのせてはなのやちらしずし)
◦春昼やアンモナイトの夢の涯 (しゅんちゅうやアンモナイトのゆめのはて)
◦踏絵ふむ操は立てぬものとして (ふみえふむみさおはたてぬものとして)
◦草萌る三年寝太郎大欠伸 (くさもえる三ねんねたろうおおあくび)
◦三遷の教えめでたき薺咲く (さんせんのおしえめでたきなずなさく)
◦春暁を確かめてまた目を瞑る (しゅんぎょうをたしかめてまためをつむる)
◦お内裏に負けず凛々しき右大臣 (おだいりにまけずりりしきうだいじん)
◦引千切のままごとめきて雛の餅 (ひちぎりのままごとめきてひなのもち)