秋耕

           ○秋耕の畝真っすぐな鍬使ひ

             (しゅうこうのうねまっすぐなくわづかい)      

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             ○秋耕や夕陽かかりて母息子    秋甫

             ○秋耕の人に落暉の影長し     々

             ○秋耕の一日暮れて小鳥くる    々

 

秋の蚊

          ○秋の蚊を搏ち損ねたる吾も哀れ

             (あきのかをうちそこねたるわれもあわれ)

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             ○哀れ蚊の耳の後ろに来て鳴けり   秋甫

             ○残り蚊や墜ちたか無事か風強し   々

             ○なごりの蚊三面鏡をとび立てり   々

 

花野

         ○花野来て画架置かれあるモネの庭

             (はなのきてがかおかれあるモネのにわ)

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            ○一人とはこんなに寂し大花野    秋甫

            ○花野径子は手をほどき走り行く   々

            ○大花野風きて雨に夢覚めし     々

            

   

 

葡萄

          ○黒葡萄レンブラントの衣の彩

            (くろぶどうレンブラントのきぬのいろ)

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           ○山ぶどう手を出して鳥に鳴かるる   秋甫

            ○帽子被る案山子置きたる葡萄棚    々

           ○マスカット三粒づつなる皿並べ    々

二学期

          ○二学期の子の大人びて登校す

             (にがっきのこのおとなびてとうこうす)

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           ○休暇明け登校の荷を前後ろ    秋甫

           ○休暇果つ絵日記の彩まとめ塗る  々

           ○遅咲きに追肥施す秋学期     々

   

 

夜長

         ○長き夜の繰り返されるユモレスク

             (ながきよのくりかえされるユモレスク)

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            ○長き夜の灯を早ばやと消しにけり   秋甫

            ○深夜ラジオのアナウンサーと夜長し  々

            ○夜長とは灯を消してよりはじまりぬ  々

 

無花果

           ○無花果の肉に溺れる黄金虫

             (いちじくのにくにおぼれるこがねむし)

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           ○無花果や悔い改めのカンタータ―   秋甫

           ○ポンペイ無花果乾き売られけり   々

           ○無花果に大泉門の開いてをり     々