八月尽

         ○電子脳「京」を「富岳」へ八月尽

           (でんしのうきょうをふがくへはちがつじん)

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             ○子別れの鴉の朝に八月尽   秋甫

             ○八月尽宿題の子の夜の悪夢   々

             ○新聞を一括りする八月尽    々

 

苔桃

          ○苔桃の森の奥にはトロルの村

            (こけもものもりのおくにはトロルのむら)

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            ○苔桃や熱唱のフィンランディア    秋甫

            ○トロル来て苔桃の篭持って行く    々

            ○苔桃を栗鼠が隠して赤い実に     々

 

鉦叩

           ○今年また門を叩くや鉦叩

             (ことしまたかどをたたくやかねたたき)

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             ○鉦叩今宵はお布施出ぬそうな   秋甫

             ○鉦叩魑魅魍魎を地の底へ     々

             ○潮騒や破れ苫屋の鉦叩      々

 

秋の潮

          ○舟留めの苔食うチヌや秋の潮

            (ふなどめのこけくうチヌやあきのしお)

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             ○イヤホンに別れの曲や秋の潮   秋甫

             ○水底は怨霊ねむる秋の潮     々

             ○秋潮へ最終便の汽笛鳴る     々



 

秋雨

           ○アンテナに鴉の憂う秋の雨

             (アンテナにからすうれいるあきのあめ)

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             ○秋雨や縁の下より忍び音の    秋甫

             ○秋雨やじゃが芋の芽が闇に出る  々

             ○秋雨に今さら蝶の急ぎ飛ぶ    々

 

鉄道草

           ○鉄道草線路は母のいる町へ

            (てつどうぐさせんろはははのいるまちへ)

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             ○鉄道の文明開化明治草       秋甫

             ○D51やヒメムカシヨモギ顔を搏つ  々

             ○鉄道草匂う線路脇の家       々

 

新涼

          ○新涼やきざみ茗荷の香をのせて

            (しんりょうやきざみみょうがのかをのせて)

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            ○京の娘に新涼を聞く長電話     秋甫

            ○新涼や稿の初めの箇条書き     々

            ○絵てがみに新涼の彩うす緑     々