〇闇に在る底の起伏や虫時雨
(やみにあるそこのきふくやむししぐれ)
〇虫時雨ほぼ百年の闇夜かな 河童三子
〇オペラあり艶歌のありし虫時雨 々
〇深夜ラジオ消し虫時雨聞いて眠る 々
(やみにあるそこのきふくやむししぐれ)
〇虫時雨ほぼ百年の闇夜かな 河童三子
〇オペラあり艶歌のありし虫時雨 々
〇深夜ラジオ消し虫時雨聞いて眠る 々
(しんりょうやいやのつりはしさるゆらす)
〇新涼や猿に競ひて栗拾う 河童三子
〇新涼や尊徳像のなき校庭 々
〇新涼ノ四角イ闇ヲ覗キ見ル 々
(かねたたきごひゃくらかんのひざのうえ)
〇一つ灯を消して始まる鉦叩 河童三子
〇真夜に聞く便所の裏の鉦叩 々
〇鉦叩吾にこの世の供養にと 々
(あきのかをこどもがつれてもどりけり)
〇残る蚊の一匹赤い血の透けて 河童三子
〇秋の蚊の朝帰る戸を開けてやる 々
〇残る蚊に囁かれをる耳かゆし 々
(テントにゆめさめてあしたのはなのゆく)
〇朝露に濡れて来る人のゐる花野 河童三子
〇寂しさに花野の朝の濡れてゐし 々
〇花野行く朝はこんなに寂しからむ 々