春塵

         ○春塵となる駱駝の糞へ帽子飛ぶ

           (しゅんじんとなるラクダのふんへぼうしとぶ)

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            ○信楽の狸のふぐり春埃       秋甫

            ○春塵やシュレッドするレジシート  々

            ○ネパールに笛売る男春の塵     々

 

耕す

          ○耕して田の真ん中に神おきぬ

            (たがやしてたのまんなかにかみおきぬ)

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            ○耕せる見返り美人ラクターに   秋甫

            ○耕す人種まく人や虹の中      々

            ○腰丸く耕しつづけ婆逝けり     々

 

春火燵

          ○掃除してまた潜り込む春火燵

             (そうじしてまたもぐりこむはるごたつ)

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              ○春火燵想定外は常のこと    秋甫

              ○決断を鈍らせてゐる春火燵   々

              ○今日は今日明日は明日春火燵  々

 

春の宵

            ○稍男時どき女春の宵  

             (ややおとこときどきおんなはるのよい)

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             ○ロックした解除忘れし宵の春   秋甫

             ○春宵や三倍速の忘却に      々

             ○てにをはにうかうか過ぎぬ春の宵 々

 

ひな祭り

          ○汐くみも糸まきも出て座敷雛

            (しおくみもいとまきもでてざしきびな)

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            ○さかしまの男雛箱より出してやる   秋甫

            ○雛祭り来年こそは揃ひ来よ      々

            ○吾が後に居場所もあらむ雛の荷    々

 

三月

            ○三月や疫病という大嵐

             (さんがつやえきびょうというおおあらし)

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             ○三月や観戦者なきオープン戦    秋甫

             ○三月のウイルスに街奪われる    々

             ○三月や別れの曲も家々に      々

 

 

             

 

二日灸

           ○小栗栖に甲賀の叔母の二日灸

             (おぐりすにこうかのおばのふつかきゅう)

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             ○二日灸さてこれからと立ち上がる   秋甫

             ○坊さんに火つけてもらう二日灸    々

             ○二日灸みな膝抱いて並びけり     々