寒造

           ○寒造伏水の深井汲み上げて

             (かんづくりふしみのふかいくみあげて)

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              ○試飲とて大吟醸の寒造    秋甫

              ○酒米の研ぎ清まされし寒造  々

              ○寒造杜氏の胸のさくら色   々

     

寒灯

           ○受験子の窓寒灯の佳境かな

            (じゅけんしのまどかんとうのかきょうかな)

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            ○寒灯消し深夜ラジオに聞き変える   秋甫

            ○飛行機の灯の流れ行く冬の窓     々

            ○寒灯の疎らに湾の闇迫る       々

 

寒の水

          ○寒の水わが身の内の一志かな

             (かんのみずわがみのうちのいっしかな)

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             ○陸奥に一穢とてなき寒の水   秋甫

             ○猜疑なき心もて呑む寒の水   々

             ○石鎚の伏流水現れ寒の水    々

     

            

 

寒菫

         ○寒菫やっぱりしゃがまないで行こう

            (かんすみれやっぱりしゃがまないでいこう)

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             ○物陰を好まぬまでも冬菫     秋甫

             ○冬菫その身のほどの高さかな   々

             ○冬菫明日も同じ空の下      々



 

寒雀

           ○寒雀嫗も交りフラダンス

            (かんすずめおうなもまじりフラランス)

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             ○雨の日は一羽も来ずに寒雀   秋甫

             ○寒雀囮の籠に米撒かれ     々

             ○寒雀神田の書肆に古地図見る  々

初天神

           ○牛撫でて胸の願書や初天神

            (うしなでてむねのがんしょやはつてんじん)

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             ○初天神去年の鷽も捨てがたし    秋甫

             ○鷽替へて空の巣になる寂しみも   々

             ○陸奥へ行く絵馬なども初天神    々 

 

               

 

寒卵

          ○寒卵受精の有無は問われざり

            (かんたまごじゅせいのうむはとわれざり)

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              ○昨日から雨降って寒卵割る   秋甫

              ○寒卵孫にも在りぬ賞味期限   々

              ○寒卵産めよと鶏舎夜もなし   々