○寒造伏水の深井汲み上げて
(かんづくりふしみのふかいくみあげて)
○試飲とて大吟醸の寒造 秋甫
○酒米の研ぎ清まされし寒造 々
○寒造杜氏の胸のさくら色 々
(じゅけんしのまどかんとうのかきょうかな)
○寒灯消し深夜ラジオに聞き変える 秋甫
○飛行機の灯の流れ行く冬の窓 々
○寒灯の疎らに湾の闇迫る 々
(かんすみれやっぱりしゃがまないでいこう)
○物陰を好まぬまでも冬菫 秋甫
○冬菫その身のほどの高さかな 々
○冬菫明日も同じ空の下 々
(かんすずめおうなもまじりフラランス)
○雨の日は一羽も来ずに寒雀 秋甫
○寒雀囮の籠に米撒かれ 々
○寒雀神田の書肆に古地図見る 々
(かんたまごじゅせいのうむはとわれざり)
○昨日から雨降って寒卵割る 秋甫
○寒卵孫にも在りぬ賞味期限 々
○寒卵産めよと鶏舎夜もなし 々