雑炊

           〇河豚でなく鴨でもなくて卵のおじや         

             (ふぐでなくかもでもなくてたまごのおじや)         

           

            〇弟に食べさすおじや我が口へも   河童三子  

            〇雑炊を粋に思へぬ不幸かな     々

            〇汁物にすぐ飯入れる雑炊癖     々

 

     婆ごころ

 

   〈此の一句〉

   〇雑炊をよろこぶ我は戦中派     森田峠(1924━2013)

   食べ物の嗜好は子どものうちに決まる部分もあると思っている。幼い頃、味噌汁ばかり食べさせられたから味噌の匂いが一切嫌いになったという友人がいたけれど、私などは実際毎日々漬け物だけで育ったようなものだが、今でも漬け物は大の好物なのは田舎の祖父母の所で長く退屈な日を送ったと、本人の記憶には負のイメージで残っていても、それなりに平和で穏やかな日々だったのかもしない。

 雑炊を喜ぶ戦中派と称する森田峠は、それが食べられたことを心から有難いと思っていたのでしょう。