春惜しむ

          ○岸壁の私とジョナサン春惜しむ

            (がんぺきのわたしとジョナサンはるおしむ)

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            ○行春を見知らぬ人と釣り談義   秋甫

            ○行春の一会の波に鯖の群     々

            ○行春や年寄りくさくなって行く  々

 やっと水をみてもそれほど寒さを感じないほどに暖かくなった。三島の「がまかつ」でゴカイを買って、大王岸壁へ。

 鯖が岸壁を回遊しているらしい、あちこちで20cmほどのものが釣り上がっていたがわれわれには偶に小さなすずめダイがかかる程度だった。

 ふと振り向くと、後ろの石にカモメがじっと釣り糸の先をみつめているのである。釣り上げられたら咄嗟に獲物を奪うつもりなのだ。その目付は釣り人よりも余ほど真剣なものが漲っていた。