初夏

     ○初夏や登校の児の白うさぎ
(はつなつやとうこうのこのしろうさぎ)
子供が白ウサギか
 小学校の頃、校舎の中庭に小屋があって金網で区切られた小屋の其々にはウサギとニワトリが飼われていた。登校の途中気が向けば道々の草などちぎってウサギに与える子もいたようだったが、主に面倒をみていたのは小使いさんと呼ばれていた老人であった。学校生活の中で日ごろはそれほど関心のある場所でなかっても、ウサギの子供が生まれたというニュースは朝の間に子供たちの間を隈なく行きわたったようであった。休み時間に行ってみると、すでに誰かの腕に抱かれていて触る機会さえなかったが、ウサギ人気もすっかり消えてしまったある日、庭の掃除当番で箒を持って出てみると白いウサギが5,6匹小屋から出て跳ねていたのを夢のように覚えている。
 この句は子供たち自身を白ウサギと詠んだものであるが....。