2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

蝌蚪

〇蝌蚪の紐人の臍の緒見たやうな (かとのひもひとのへそのおみたような) 〇躍動するユーチューブと蝌蚪の紐 河童三子 〇蝌蚪の紐宇宙のはじめひも理論 々 〇オタマジャクシ頭の他は尻尾かな 々

紫雲英

〇紫雲英田に転がりて見し青い雲 (げんげだにころがりてみしあおいくも) 〇吾子立ち初めし紫雲英田(げんげだ)に団地立つ 河童三子 〇紫雲英田を山の郵便配達夫 々 〇悟りなき世に消えていく蓮華草 々

霾天

〇霾天や千年昔より夜這ふ (ばいてんやせんねんむかしよりよばう) 〇霾天や句友被り来黒帽子 河童三子 〇崑崙より夫の遺灰の黄砂来る 々 〇句敵の朧に現るる霾(つちふる)る中 々

青踏

〇悠久のケルトの丘の青き踏む (ゆうきゅうのケルトのおかのあおきふむ) 〇踏青や熊野古道の野に出でぬ 河童三子 〇青き踏む素足に生きることを知る 々 〇青き踏んで十三文の靴もどる 々

ストック

〇紫羅欄花ストックと言へばいいのに (あらせいとうストックといえばいいのに) 〇ストックの黄色咲く今朝のネガティブ 河童三子 〇紫羅欄花(あらせいとう)平和の愛を希求する 々 〇ストックやストイックならなを美し 々

春雷

〇春雷や読書をおいて猫を抱く (しゅんらいやどくしょをおいてねこをだく) 〇鍵穴を光らせてゐる春の雷 河童三子 〇春の雷りんごのオブジェ光らせる 々 〇沖島の辺りへ走る春の雷 々

イカナゴ

〇イカナゴの十頭身のくぎ煮かな (イカナゴのじゅうとうしんのくぎにかな) 〇イカナゴをめばるの餌に取られけり 河童三子 〇イカナゴに目のあり鰭も尻尾あり 々 〇イカナゴの釜あげ干してくぎ煮まで 々

囀り

〇シジュウガラ三つ揃来て囀れり (しじゅうがらみつぞろいきてさえずれり) 〇囀りやツツピツツピー誰を呼ぶ 河童三子 〇囀りやまだ面白くさえずれり 々 〇囀りや転びしままの道祖神 々

山笑う

〇未来図の老老介護山笑ふ (みらいずのろうろうかいごやまわらう) 〇山笑う祠の口のほっかりと 河童三子 〇山笑う色紙(いろがみ)を吊る老の部屋 々 〇姥捨の復活案や山笑う 々

桜咲く

〇蜂の巣のざわめき立つや桜咲く (はちのすのざわめきたたつやさくらさく) 〇桜咲いて虫に体毛生へ揃ふ 河童三子 〇桜咲く牛舎の窓の眼が並び 々 〇雨に耐え風に我慢の桜花 々

彼岸

〇子規の言ふ彼岸の寒さ今につぐ (しきのいうひがんのさむさいまにつぐ) 〇お彼岸や餡子ときな粉ツーショット 河童産雇 〇声高に故人と酌むは治聾酒か 々 〇春彼岸傘さして寿司買ひに 々

鳥帰る

〇鳥帰るニアミスもなき空の旅 (とりかえるニアミスもなきそらのたび) 〇鳥帰るヘラにて返す羽餃子 河童三子 〇天空に神の導き鳥帰る 々 〇鳥帰る空に仏もをわすなり 々

茎立

〇茎立やもの余りたる世もすみぬ (くきだちやものあまりたるよもすみぬ) 〇茎立の刻まれて地の塩となる 河童三子 〇残されて花を咲かせて茎立ぬ 々 〇茎立の大見得きって幕を引く 々

沈丁花

〇沈丁の雨滴に潤む午後の庭 (ちんちょうのうてきにうるむごごのにわ) 〇行く人を振り返へらせて沈丁花 河童三子 〇沈丁の香に呼び止められし夕明り 々 〇そよ風にふと匂ひ立つ沈丁花 々

山椒の芽

〇山椒の芽に早実の芽見えてある (さんしょうのめにはやみのめみえてある) 〇山椒の芽のせて寿司できあがる 河童三子 〇和え物に山椒の芽を待ってゐる 々 〇山椒の芽やピリ辛の恩師かな 々

種袋

〇嬉しそうなり店頭の種袋 (うれしそうなりてんとうのたねぶくろ) 〇抽斗は種(しゅ)のるつぼにて春の種 河童三子 〇その中に怪獣生まる種袋 々 〇種袋蓮やどんぐりなどもあって 々

春暁

〇春暁の人生ゲーム夢の中 (しゅんぎょうのじんせいゲームゆめのなか) 〇魔の闇を斬って春暁現るる 河童三子 〇山の春暁珈琲の湯を沸かす 々 〇春暁や工場の街煙立つ 々

蒲公英

〇蒲公英やいつしか族の最媼 (たんぽぽやいつしかぞくのさいおうな) 〇蒲公英や綿毛となりし三姉妹 河童三子 〇たんぽぽや先に呆けた者が勝ち 々 〇蒲公英の今完璧な絮なりし 々

涅槃

〇地獄絵もご開帳なる涅槃寺 (じごくえもごかいちょうなるねはんでら) 〇涅槃絵の遍く照らす月煌々 河童三子 〇涅槃会の寺へ掛物届けをく 々 〇ふくよかな蹠(あうら)重ねし涅槃仏 々

うららか

〇うらうらと壁へ突っ込む車かな (うらうらとかべへつっこむくるまかな) 〇うららかや手打ちうどんを待ってをり 河童三子 〇麗らかや土塀緩みて曲がりをり 々 〇麗らかや頬寄せあって道祖神 々

三月十一日

〇十二回目の三月十一日 (じゅうにかいめのさんがつじゅういちにち) 〇三月十一日まためざし焼く 河童三子 〇三月十一日珈琲を濃く 々 〇東北は雪三月十一日 々

花ミモザ

〇花ミモザ心憂き日の風見鶏 (はなミモザこころうきひのかざみどり) 〇ミモザ咲く菜の花もある爛漫 河童三子 〇空塞ぐミモザの花に窒息す 々 〇花ミモザ檸檬の花の地中海 々

春泥

〇春泥の彳彳と行く家の前 (しゅんでいのてきてきといくいえのまえ) 〇朝練に春泥撥ねしユニホーム 河童三子 〇牛舎の前ことに豊かな春の泥 々 〇水掻きで家鴨が捏ねる春の泥 々

春の月

〇わが地球(ほし)を月より仰ぐ春の望 (わがほしをつきよりあおぐはるのもち) 〇母と娘の明日の別れ春の月 河童三子 〇春の月ケアーハウスに灯の入るる 々 〇春の月あまねく影を隠すかな 々

啓蟄

〇啓蟄や日本のロケット飛びたてづ (けいちつやにほんのロケットとびたてづ) 〇啓蟄の地下道出れば知らぬ街 河童三子 〇啓蟄や通勤電車から人人 々 〇啓蟄やフルートを吹く蛇使い 々

芽吹き

〇何の芽や平屋の前の耕三筋 (なにのめやひらやのまえのこうみすじ) 〇一人居る孤独のとなり芽吹く頃 河童三子 〇倒木の芽は九十度曲げて出る 々 〇負け猫に旅始まりぬ木の芽時 々

うららか

〇うららかや二十歳の髪を散らし切る (うららかやはたちのかみをちらしきる 〇うららかや術後はすこし影を行く 河童三子 〇うららかやゐ抱き合う道祖神かな 々 〇うららかや車を捨てて子と歩く 々

座禅草

〇座禅草はじめに言葉ありきとよ (ざぜんそうはじめにことばありきとよ) 〇混沌の道教へむと座禅草 河童三子 〇語らばや熱帯びてゐし座禅草 々 〇寄り添ひて熱も発する座禅草 々

ひな祭り

〇数うれば五十路となりぬ娘の雛 (かぞえればいそじとなりぬこのひいな) 〇久々に雛を飾りし我傘寿 河童三子 〇人の道外さず生きよ雛まつり 々 〇下駄箱の上に座るや土の雛 々

春兆す

〇青春の片道切符春兆す (せいしゅんのかたみちきっぷはるきざす) 〇春兆す雨の雫もまん丸に 河童三子 〇春めくと心弾むを戒める 々 〇キャンパスの門の弁当や春兆す 々