2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

寒見舞い

〇寒見舞いとて風邪気味に長電話 (かんみまいとてかぜぎみにながでんわ) 〇障子より大きな影の寒見舞い 河童三子 〇喪の家の晦日正月蕎麦出さる 々 〇寒見舞い厚いステーキ提げて来る 々

笹鳴き

〇笹鳴や開けてはならぬ最後の蔵 (ささなきやあけてはならぬしまいのくら) 〇笹子鳴き幽玄の間へ誘わる 河童三子 〇笹鳴きや昼餉に戻る猫の径 々 〇笹鳴きの小藪の奥の地蔵尊 々

水仙

〇今朝の卓パン目玉焼き水仙花 (けさのたくパンめだまやきすいせんか) 〇野水仙花盗人へ身をおとす 河童三子 〇水仙花白寿の叔母の遺影に挿す 々 〇真夜中や水仙の香の徘徊す 々

寒灯

〇寒灯や孤に親しみて師に遠く (かんとうやこにしたしみてしにとおく) 〇寒灯し十二ページの伝道の書 河童三子 〇寒灯の朝な夕なの一つかな 々 〇冬の灯の一つ潤みし我が家かな 々

ちゃんちゃんこ

〇ちゃんちゃんこ縦結びして了はるかな (ちゃんちゃんこたてむすびしておわるかな) 〇古希傘寿めでたき色のちゃんちゃんこ 河童三子 〇好々爺ちゃんちゃんこ着て恵比須顔 々 〇最後までベストで通すちゃんちゃんこ 々

風邪

〇衣ほし女人菩薩が風邪ひけり (ころもほしにょにんぼさつがかぜひけり) 〇熱なくて解放される風邪ごこち 河童三子 〇鼻風邪や窓近く寄る冬の靄 々 〇流行り風邪閉じし一戸を誰も知らぬ 々

寒卵

〇寒卵下町の救世主たれ (かんたまごしたまちのきゅうせいしゅたれ) 〇金さんの桜吹雪や寒卵 河童三子 〇寒卵賞味期限が昨日まで 々 〇寒卵神に供へてよかりけり 々

耳袋

〇耳袋兎の仇に狐狩り (みみぶくろうさぎのあだにきつねがり) 〇俤や伯父の鉄砲耳袋 河童三子 〇耳袋して北海の大魚獲る 々 〇耳袋して湘南の風にをり 々

冬の雨

〇暗がりのスマホに訃報冬の雨 (くらがりのスマホにふほうふゆのあめ) 〇冬の雨百に届かぬ命かな 河童三子 〇生るるも死するも時の冬の雨 々 〇亡骸に寄り添ひて行く冬の雨 々

蒲団

〇蒲団干す歌舞音曲を慎みて (ふとんほすかぶおんぎょくをつつしみて) 〇兄嫁の蒲団の色や椿咲く 河童三子 〇太陽の匂が好きで布団干す 々 〇ぽんぽんと敲かれ蒲団入れらるる 々

初大師

〇弘法の笠に雪着る初大師 (こうぼうのかさにゆききるはつだいし) 〇初大師雪にすっぽり九条葱 河童三子 〇初大師京一円は雪の中 々 〇初大師鶴亀焼きの列に入る 々

大寒

〇小寒をへて大寒の定まりぬ (しょうかんをへてだいかんのさだまりぬ) 〇大寒や鶏は卵を産み惜しむ 河童三子 〇大寒の禅寺を出る托鉢僧 々 〇海山に今日大寒の極まりぬ 々

仏の座

〇雑草の中の雑草仏の座 (ざっそうのなかのざっそうほとけのざ) 〇田平子(たびらこ)の雀遊ばす仏かな 河童三子 〇田平子や階段昇り来る仏 々 〇観音の裳裾のピンク仏の座 々 仏の座のことをまた、田平子(たびらこ)とも言う。

冬木の芽

〇花の芽か葉の芽か未定冬木の芽 (はなのめかはのめかみていふゆきのめ) 〇冬木の芽孫を装う偽電話 河童三子 〇向い立つ山に冠雪冬木の芽 々 〇 出しゃばって引っ込みつかぬ冬木の芽 々

寒肥

〇寒肥や傘寿間近に身をおきぬ (かんごえやさんじゅまぢかにみをおきぬ) 〇寒肥の等間隔に置かれけり 河童三子 〇寒肥(かんぴ)撒く男を鴉遠巻きに 々 〇寒肥撒かれし一帯の異臭かな 々

寒雀

〇寒雀味噌屋宗兵衛惚けと囃す (かんすずめみそやそうべいほうけとはやす) 〇寒雀庭は野良猫通る道 河童三子 〇寒雀樋にタップを踏みをるや 々 〇駅前にパン屑拾う寒雀 々

女正月

〇女正月赤富士の雲球子の画 (めしょうがつあかふじのくもたまこのえ) 〇良寛の風の字傾ぐ女正月 河童三子 〇百歳の画家立ち上がる小正月 々 〇ストーブの小豆踊るや女正月 々

懐手

〇猿芸のあくび手まくら懐手 (さるげいのあくびてまくらふところて) 〇飯くわんとおもむろに解くふところ手 河童三子 〇打つ手なし下手な考え懐手 々 〇すぐ解かるオプチミストの懐手 々

初場所

〇初場所や贔屓の小兵太りけり (はつばしょやひいきのこひょうふとりけり) 〇初場所や電車通いの角力取 河童三子 〇初場所や両国の風髷ゆらす 々 〇初場所や呼び出しの節よく回る 々

寒九

〇湯に入りて寒九の水を手に掬う (ゆにいりてかんくのみずをてにすくう) 〇曳き売りの魚洗いをる寒の水 河童三子 〇乳房なき胸に骨ある寒の水 々 〇蛇口よりしばし汲みおく寒の水 々

凍鶴

〇凍鶴の背より息吐く目覚めかな (いてづるのせよりいきはくめざめかな) 〇鶴と亀初夢に来て亀親し 河童三子 〇凍鶴の目覚め待ちゐるカメラマン 々 〇凍鶴の首しなやかに目覚めけり 々

猿回し

〇猿曳と猿に阿吽の呼吸かな (さるひきとさるにあうんのこきゅうかな) 〇猿回し顔も仕草も猿に似て 河童三子 〇猿曳の猿に反省強いらるる 々 〇猿曳も猿も路辺に共白髪 々

凍土

〇洟たてれ凍てる地べたに立てる子よ (はなたれていてるぢべたにたてるこよ) 〇凍土うつ農夫の背より日の昇る 河童三子 〇凍土に立てる青年の拳固し 々 〇凍土より出るマンモスの肉喰らう 々

寒三日月

〇寝殿へペルシャの剣寒三日月 (しんでんへペルシャのつるぎかんみかづき) 〇寒三日月まあるくなって眠る鹿 河童三子 〇駅前に寒月光の出迎えり 々 〇寒の月無窮の静に足竦む 々

人日

〇人日の粥吹き零す朝かな (じんじつのかゆふきこぼすあしたかな) 〇人日の殺生断って人喰わぬ日 河童三子 〇人の日やラインへ一人追加する 々 〇人日や七草の名をまた忘る 々

冬霞

〇鐘の音や低く漂ふ冬霞 (かねのねやひくくはいいくふゆがすみ) 〇白菜を縮ませてをる寒霞 河童三子 〇寒霞鴉の興も失せにけり 々 〇冬霞晴れて製紙の煙かな 々

新暦

〇とりたてて予定なき身や新暦 (とりたててよていなきみやしんごよみ) 〇新暦治療予約日なくなりぬ 河童三子 〇新暦なにか書き込みたき心 々 〇新暦今年も雪の富士写真 々

喰積

〇喰積のお重干さるる四日かな (くいつみのおじゅうほさるるよっかかな) 〇喰積の海老の頭も吸い物に 河童三子 〇喰積に火を入れなおす四日かな 々 〇喰積を片付け常の煮物かな 々

三日

〇監督の胴上げかねる駅伝の子 (かんとくのどうあげかねるえきでんのこ) 〇三日はや窓曇らせて大根煮る 河童三子 〇庭に来て福良雀の三が日 々 〇厚底の靴箱根を走る三日かな 々

初景色

〇神々し吾故郷の初山河 (こうごうしわがふるさとのはつさんが) 〇信仰の山連なりし初景色 河童三子 〇初景色スマホに撮りて子に送る 々 〇風の日の老いに向かうや初景色 々