2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

烏の子

〇烏の子落ちて戻れぬ生地かな (からすのこおちてもどれぬせいちかな) 〇転落に始まるゐろは烏の子 河童三子 〇洗礼の雨に光るや鴉の子 々 〇烏の子親の真似して拝みけり 々

片白草

〇しらじらと惚け始まりぬ片白草 (しらじらとぼけはじまりぬかたしろそう) 〇海老蔵の肩白塗りの半化粧 河童三子 〇片白草廃れ行く世の速さかな 々 〇俳号という名も吾に片白草 々

青田

〇嶺の風ひとり青田の恣 (みねのかぜひとりあおたのほしいまま) 〇子の育つあっといふ間の青田かな 三子 〇ビルの影入れず青田の狭の風 々 〇青眼の農夫青田に向いて立つ 々

葛切り

〇葛切りの器涼しき疎水の道 (くずきりのうつわすずしきそすいのみち) 〇あんみつのぜっぴんに逢う京の夏 河童三子 〇葛切りや瑠璃の器に銀の匙 々 〇葛切りに黒蜜かける木彫の皿 々

蛍舟

〇蛍舟幾人乗るや川の闇 (ほたるぶねいくにんのるやかわのやみ) 〇蛍舟沈黙の闇流れ行く 河童三子 〇蛍火の薄ければ道外しそう 々 〇蛍狩り貴船の床に迷い込み 々

虎が雨

〇虎が雨掬ひて飲めば甘からん (とらがあめすくいてのめばあまからん) 〇今宵降るは誰がために泣く虎が雨 河童三子 〇われも濡れ泣きもしようぞ虎が雨 々 〇虎が雨情深ければ雷も鳴る 々

〇萍に雨の別れや深泥池 (うきぐさにあめのわかれやもどろがいけ) 〇萍の流されゆくは屁の河童 河童三子 〇オフェリアのごと萍に河童葬 々 〇萍を見てゐて早も日が昏れし 々

夏の夜

〇ベランダに逃げる梯子や夏の夜 (ベランダににげるはしごやなつのよる) 〇夏の夜やバザールに買う糸人形 三子 〇砂浜のロックライブや夏の夜 々 〇夏の夜や火を遠巻きに火と踊る 々

夏蚕

〇これがその絹吐く繭の夏蚕かな (こえがそのきぬはくまゆのなつごかな) 〇夏蚕食む桑の葉音の寝もやらず 三子 〇蒟蒻の里に夏蚕の桑食めり 々 〇夏蚕の糸女性哀史を紡ぎけり 々

夏至

〇夏至の日や娘に委ねたる術後の身 (げしのひやこにゆだねたるじゅつごのみ) 〇三階の窓の欅に夏至の昼 河童三子 〇カーテンが目覚め促す今朝の夏至 々 〇夏至の日の欅を移る一日かな 々

十薬

〇十薬を咲かせて庭の十字軍 (じゅうやくをさかせてにわのじゅうじぐん) 〇十薬咲き華々し活躍もなく 河童三子 〇十薬を低く育てし塀の際 々 〇十薬も花ある草と思ひきや 々

桜桃忌

〇桜桃忌路に落ちるは桜の実 (おうとうきみちにおちるはさくらのみ) 〇ベランダに雨溢れ来る太宰の忌 河童三子 〇キャンパスに三階の窓桜桃忌 々 〇洗礼の水に溺れり太宰の忌 々

栗の花

〇息苦し夜道抜けるや栗の花 (いきぐるしよみちぬけるやくりのはな) 〇ザーメン(精子)のふりしきるごと栗の花 河童三子 〇栗の花この優しさにイガのもと 々 〇栗咲くや雨の雫を堪へつつ 々

〇鍵盤の汗拭いて立つ演奏者 (けんばんのあせふいてたつえんそうしゃ) 〇汗流る叔父が鬘の村芝居 河童三子 〇拭ききれぬ大汗掻いて夫逝きぬ 々 〇次の世は汗の似合ひし漢にと 々

昼寝

〇一村の猫も加わる昼寝かな (いっそんのねこもくわわるひるねかな) 〇寺守の昼寝のさまに拾得の 河童三子 〇子ら覗く昼寝の僧の股間かな 々 〇叱られて子は板の間の三尺寝 々

枇杷

〇枇杷の実を口にふふめばゴロンと種 (びわのみをくちにふふめばゴロンとたね) 〇枇杷の種口膨らませ飛ばしけり 三子 〇枇杷熟れてほのかに灯る塀の内 々 〇枇杷の木を登って取れば子が喝采 々

あめんぼう

〇あめんぼの水の濁りを憩ひけり (あめんぼのみずのにごりをいこいけり) 〇土曜日の宝ヶ池のあめんぼう 河童三子 〇あめんぼう己が張り付く水鏡 々 〇水面に結界のあるあめんぼう 々

蛍袋

〇うなだれて蛍袋の病みてをり (うなだれてほたるぶくろのやみており) 〇塀に寄る蛍袋の気に掛かる 河童三子 〇蛍袋に雨吾に泣き黒子 々 〇雨降れば蛍袋の涙かな 々

紫陽花

〇ピカソなる馬上の裸体四葩咲く (ピカソなるばじょうのらたいよひらさく) 〇手毬花身を持て余す盛り過ぎ 河童三子 〇紫陽花や石階下りる時見えて 々 〇癌の乳喪くしてしまひ七変化 々

生節

〇生節甘辛く母煮給へり (なまりぶしあまからくははにたまへり) 〇鰹大漁に生節の出回りぬ 河童三子 〇生節の蒸しあがりたる白さかな 々 〇生節の残れば角煮して売らる 々

時の日

○時の日やワクチン接種待つ一日 (ときのひやワクチンせっしゅまつひとひ) ○時の日の五十年母の忌明けぬ 河童三子 ○時の日の砂時計置くサウナ風呂 々 ○時の日や吾に百年あらまほし 々

心太

○心太箸一本の洒脱かな (ところてんはしいっぽんのしゃだつかな) ○心太箸一本にいのち掛け 河童三子 ○波音の入る小屋掛けに心太 々 ○酢胡麻組黒蜜組や心太 々

○加茂川を遡る鵜の荒々し (かもがわをさかのぼるうのあらあらし)) ○手拭を被りて河鵜嫁探し 河童三子 ○此処の鵜はのどに縄なし魚を呑む 々 ○岩礁にヴァイキングかな鵜の並び 々

竹の花

○筍はクローンなるや竹の花 (たけのこはクローンなるやたけのはな) ○俳壇に吾名沙汰すや竹の花 河童三子 ○狸谷から竹の花見に来よと 々 ○狸饅頭喰って竹咲きにけり 々 衣替えの季節でもあり、そろそろ秋甫を改めてみることにしました。 治療のために髪の毛…

花茨

○絵てがみにしば餅にとて花茨 (えてがみにしばもちにとてはないばら) ○これがそのサルトリイバラ花茨 秋甫 ○花茨餅捏ねられて抱くばかり 々 ○餅好きが庭植えにせし花茨 々

薬降る

○薬降る天を仰ぐや眼を病みて (くすりふるてんをあおぐやめをやみて) ○娘は漢方われは手術の薬の日 秋甫 ○加茂川の友禅流し薬降る 々 ○存えて飛鳥の宇陀に薬狩る 々

衣更へ

○衣更へ娘夫婦と三人(みたり)かな (ころもがえむすめふうふとみたりかな) ○衣更へ今年乳房を喪くしけり 秋甫 ○衣替え心つもりの日雨降る 々 ○衣更へ居候の身の筺二つ 々

六月

○サブウエイ出て六月の風白し (サブウエイでてろくがつのかぜしろし) ○学食に大盛りの六月メニュー 秋甫 ○六月の風ウーバーの背中押す 々 ○六月の額傾くや旅心 々

○ワクチンの通行手形夏の陣 (ワクチンのつうこうてがたなつのじん) ○夏百日病みてスマホの枕もと 秋甫 ○夏の夜や欅の会話盗み聞く 々 ○カーテンを踊らせ夏の風得意 々

早苗

○修学院棚田の早苗旭日に (しゅうがくいんたなだのさなえきょくじつに) ○早苗田に比叡を昇る朝日かな 秋甫 ○早苗田の秋田こまちやコシヒカリ 々 ○有り余る水に早苗の溺れじと 々