2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧
○夏帽胸に抱きピエタの像拝す (なつぼむねにだきピエタのぞうはいす) ○̪肆(みせ)だしの古地図見ている夏帽子 秋甫 ○麦稈帽港に猫と釣り糸と 々 ○夏帽や自粛の街のマスクかな 々
○お隣の茄子やっと花つくところまで (おとなりのなすやっとはなつくところまで) ○元校長のなすびも花を付けにけり 秋甫 ○子育てを野菜作りに茄子の花 々 ○茄子咲くやさてこれからが本番に 々
○廟門の木戸番熟寝の三尺寝 (びょうもんのきどばんうまいのさんじゃくね) ○三尺寝風きて浄土より戻る 秋甫 ○曾祖母の縁に昼寝の浄土かな 々 ○三尺寝塾寝あまりて夜の徘徊 々
○大釜に茶の湯沸きたり雨安居 (おおがまにちゃのゆわきたりあめあんご) ○雨安居堂拭く僧の蹠(あうら)かな 秋甫 ○安居寺魚鼓(ぎょく)敲かれて昼食(ちゅじき)に 々 ○生けるもの皆集い来る安居寺 々
○若竹の自在に伸びし端居かな (わかたけのじざいにのびしはしいかな) ○往還をゆく人もなし夕端居 秋甫 ○ソーシャルディスタンスとて夕端居 々 ○風の来てダチュラの匂う夕端居 々
○青鳩に何の思案や梅雨最中 (あおばとになにのしあんやつゆさなか) ○青鳩の袍の色してほーほーと 秋甫 ○青鳩の海眺める日潮汲むや 々 ○青鳩のただ包まれし雨の靄 々
○キャンバスの緑ゆらぎぬ青田風 (キャンバスのみどりゆらぎぬあおたかぜ) ○青田道木炭の線パンで消す 秋甫 ○庄内の秋田こまちや青田風 々 ○何処までも行って帰らず青田風 々
○青嶺に向かって座る机かな (あおみねにむかってすわるつくえかな) ○青嶺や恐竜の背骨歩けり 秋穂 ○踏切の信号鳴るや遠青嶺 々 ○青嶺や九十九に曲がる尾根の径 々
○十薬や兄の遺影の母似かな (じゅうやくやあにのいえいのははにかな) ○風神の十薬ゆらす風袋 秋穂 ○十薬の真っ白な花色付けず 々 ○ドクダミ草斎場の煙突仰ぐ 々
○夏至の日の白夜は鳥のカーニバル (げしのひのびゃくやはとりのカーニバル) ○大神の夏至日輪を欠き給う 秋甫 ○夏至の日の公道に日食現れ 々 ○夏至の日や浪人生の声確かむ 々
○青時雨ゆうべの夢の涙かな (あおしぐれゆうべのゆめのなみだかな) ○青時雨湖上に濡れしスワン船 秋穂 ○青しぐれピーターは人参畑 々 ○青時雨夢のつづきを見るによし 々
○孫も又椅子に足くむ桜桃忌 (まごもまたいすにあしくむおうとうき) ○桜桃忌どしゃ降りに川の慟哭 秋甫 ○同窓会彼奴も来ている太宰の忌 々 ○桜桃忌十年も経ちゃ片が付く 々
○明易の空ゆるやかに今朝の雨 (あけやすのそらゆるやかにけさのあめ) ○短夜や護岸隠して潮満てり 秋甫 ○風の来て窓打つ雨の短夜や 々 ○短夜の夢にみし人懐かしき 々
○冷し酒切子グラスが添えられて (ひやしざけきりこグラスがそえられて) ○ぐい吞みの形を変えて冷やし酒 秋甫 ○オンザロック氷鳴かせて飲みにけり 々 ○コーラより飲み口易し冷し酒 々
○皮脱いで今青竹に成りにけり (かわぬいでいまあおたけになりにけり) ○竹皮を脱ぎ無防備に立ち向ふ 秋甫 ○竹皮の一つなかなか脱げ切れず 々 ○竹皮を脱ぐ他人の子のよく見えて 々
○蝸牛疫病の禍をやり過ごす (かたつむりえきびょうのかをやりすごす) ○蝸牛オンラインにて夕餉かな 秋甫 ○でで虫や深夜ラジヲもよかりけり 々 ○でで虫の家も好みの壁の色 々
○父の日や娘に問われ鰻と答ふ (ちちのひやこにとわれうなぎとこたう) ○父の日の殊にながきは厠かな 秋甫 ○父の日や怒られし記憶ばかりに 々 ○父と娘の母娘と異ふ父の日なり 々
○えごの花獣の径はくねりをり (えごのはなけもののみちはくねりをり) ○えごの花山雀は実を待っている 秋甫 ○えごの花マリンバのばち降るように 々 ○真っ白し誰の散華やえごの花 々
○釣鐘草ほたる袋が似合う庭 (つりがねそうほたるぶくろがにあうにわ) ○障子細めに雨の蛍ぶくろ哉 秋甫 ○蛍袋祖父母の恩は永遠にあり 々 ○山路咲く蛍袋は白ばかり 々
○大仏の螺髪四葩の花が咲く (だいぶつのらほつよひらのはながさく) ○六甲の風の教会七変化 秋甫 ○障子開けて雨の一日を額の花 々 ○紫陽花に蝶一頭の雨宿り 々
○柿の葉のイラガの毛虫虎模様 (かきのはのイラガのけむしとらもよう) ○毛虫らの葉食む音に昼下がり 秋甫 ○一匹の後はびっしり毛虫かな 々 ○隊列を組んで毛虫ら葉喰い尽くす 々
○水鳥の巣の揺籃や葦茂る (みずとりのすのようらんやあししげる) ○青葦の風に魚の目を覚ます 秋甫 ○青葦や友を誘いて渡し舟 々 ○青葦を風の遊んで行くことよ 々
○夏の月わが目拭へば潤みけり (なつのつきわがめぬぐえばうるみけり) ○梟の眸の煌々と夏の月 秋甫 ○南海に鯨見上ぐる夏の月 々 ○世に物の潤びゆくなり夏の月 々
○子燕に通過電車や海の駅 (こつばめにつうかでんしゃやうみのえき) ○親燕より朝早し農の軒 秋甫 ○燕の子酒の糀を啄めり 々 ○燕の子明日は伏見の堀出でむ 々
○竹ちゃんは青梅喰って腸チフス (たけちゃんはあおうめくってちょうチフス) ○祖母が戒め青梅に腸チフスありと 秋甫 ○青梅や虎狼痢(ころり)と呼びしコレラかな 々 ○青梅やころり虎狼痢と人は逝き 々
○自粛する部屋に一匹蝦蟇のゐて (じしゅくするへやにいっぴきがまのいて) ○一貫もあろうか蝦蟇の夢に出て 秋甫 ○おんびきという祖母に親しき蟇蛙 々 ○蟇蛙昼寝さめても雨の庭 々
○ががんぼや孫に筆跡ほめられし (ががんぼやまごにひっせきほめられし) ○ががんぼのゆるゆる飛ぶを目に追ひぬ 秋甫 ○ががんぼの肢切って去る非常事態 々 ○ががんぼに死ねと言へば死ぬるかも 々
○ベゴニアの移民のごとく庭占むる (ベゴニアのいみんのごとくにわしむる) ○ベゴニアの葉の雨に陽に火照りけり 秋甫 ○ベゴニアと赫いルージュのお姐さん 々 ○ベゴニアの愛告白す種つけて 々
○ゼラニュームこの匂い喰う虫のゐて (ゼラニュームこのにおいくうむしのいて) ○ゼラニューム旨しと思う気にもなる 秋甫 ○ゼラニューム再び午後の診察室 々 ○薔薇もいいけど私にはゼラニューム 々
○衣替て娘へのはがきを投函す (ころもかえてこへだすはがきとうかんす) ○衣更とて新しき物なかりけり 秋甫 ○身の内に捨てたきものや衣更 々 ○二の腕に鳥肌立つや衣替 々