2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

鴉の子

○今年また子鴉鳴いて杉賑わし (ことしまたこがらすないてすぎにぎわし) ○ゆくりなく鴉のあの子落ちてきた 秋甫 ○三本の杉交代に鴉の子 々 ○朝来ればすぐにぎやぁぎやぁ鴉の子 々

五月憂し

○五月憂し平行のまま蝶二頭 (ごがつうしへいこうのままちょうにとう) ○五月病皮膚科の先生偏屈で 秋甫 ○緩やかに学童の列五月病 々 ○雨は雨風は風とて五月憂し 々

青岬

○青岬白い灯台輝かす (あおみさきしろいとうだいかがやかす) ○白灯台赤灯台青岬 秋甫 ○鴎群れ釣り人語る青岬 々 ○青岬突先にゐる余生かな 々

蛍袋

○蛍袋ぬれて母の忌思い出す (ほたるぶくろぬれてははのきおもいだす) ○母の忌は五月の末と覚えしが 秋甫 ○藪入りの叔母の提灯蛍ふくろ 々 ○雨の日の蛍袋の沓沓と 々

薄暑

○薄暑光五十五冊の日記終う (はくしょこう五十五さつのにっきしまう) ○友が来て薄暑の部屋を開け放つ 秋甫 ○新聞を週二購読して薄暑 々 ○トルストイの家出を慮う夕薄暑 々

聖五月

○聖五月受胎告知に訝る顔 (せいごがつじゅたいこくちにいぶかるかお) ○街々に受胎の告知聖五月 秋甫 ○産科医に産声あがる聖五月 々 ○聖五月授乳の母を吾子の見る 々

桐の花

○県境に桐の花咲く君の街 (けんきょうにきりのはなさくきみのまち) ○山に在れば下にも見ゆる桐の花 秋甫 ○兄つけし箪笥の創や桐の花 々 ○桐の花母の箪笥を娘がつなぐ 々

金魚玉

○物憂さや午後の光に金魚玉 (ものうさやごごのひかりにきんぎょだま) ○うっすらと埃冠りし金魚玉 秋甫 ○金魚玉泳ぐ金魚が欲しと言ふ 々 ○金魚玉銀嶺という珈琲館 々

○皇后の優し掌に蚕蠢く (こうごうのやさしてにかいこうごめく) ○皇后の育てし蚕桑を食む 秋甫 ○山繭のふるさとの彩うす緑 々 ○繭の糸ただ一本に一途かな 々

豆の飯

○豆の飯ひとりに炊いて独り食ぶ (まめのめしひとりにたいてひとりたぶ)

鉄線花

○鉄線花咲きしと君が絵手紙に (てっせんかさきしときみがえてがみに)

○旅の留守蟻も旅してゐたりしか (たびのるすありもたびしていたりしか)

牛蛙

○牛蛙ノーベル賞で蛙飛び (うしがえるノーベルしょうでかえるとび) ストックホルムの市庁舎、あおの広間。 ノーベル賞授賞式のあとここで晩さん会が開かれる。 受賞者が蛙飛びをするのはここではなく其々の大学でらしい。

草笛

○草笛のまだ柔らかき音色かな (くさぶえのまだやわらかきねいろかな)

新樹

○フロム鉄道窓に新樹溢れて (フロムのてつどうまどにしんじゅあふれて)

○鴎の眸フィヨルドの滝流れ落つ (かもめのめフィヨルドのたきながれおつ)

マロニエの花

○マロニエ咲く村の教会裏に墓地 (マロニエさくむらのきょうかいうらにぼち)

青嵐

○船上やクロンボー城に青嵐 (せんじょうやクロンボーじょうにあおあらし)

青嵐

○青嵐哀しき恋の人魚姫 (あおあらしかなしきこいのにんぎょひめ) ○岩の上の人魚姫や青嵐 秋甫 ヘルシンキ(フィンランド)からトランジットしてコペンハーゲン(デンマーク)へ

母の日

○母の日や背負いバッグで関空から (ははのひやせおいバッグでかんくうから) 北欧4ヶ国の旅に出発です。

野イチゴ

○野苺のほろりと落ちて茨かな (のいちごのほろりとおちていばらかな) ○野いちごを口にふふみし少年期 秋甫 ○少年の掌に野苺の潰れ易し 々 ○少年の唇染めし野の苺 々

カーネーション

○カーネーション五月十日の花言葉 (カーネーションごがつとおかのはなことば) トルコの思い出 ○撫子や馬車の農夫に手振りをり 秋甫 ○撫子にトルコの空の限りなし 々 ○撫子やトロイの木馬兵が曳く 々 カーネーションは撫子科の花 花言葉は色によってさまざ…

菖蒲

○菖蒲葉の立纓の冠のごと立つ (しょうぶはのりゅうえいのかんのごとたつ) ○葉と花は父母のごとしや花菖蒲 秋甫 ○図鑑みて葉脈を見て花菖蒲 々 ○菖蒲園出るとき少し背を反らす 々

葱坊主

○葱坊主切って涙に暮れにけり (ねぎぼうずきってなみだにくれにけり) ○葱坊主憎まれっ子の世にはびこり 秋甫 ○立たされしがき大将や葱坊主 々 ○教室の外に毛槍の葱坊主 々

初燕

○初燕リピュウリピュウと帰郷かな (はつつばめリピュウリピユウとききょうかな) ○初燕わが軒下の値踏みかな 秋甫 ○寝室の二階を覗く初燕 々 ○初燕猫の鼻先掠め飛ぶ 々

立夏

○瞠れとて眼の垂れし立夏かな (みはれとてまなこのたれしりっかかな) ○兄と鮒つる遠き日の立夏かな 秋甫 ○弟は泳げたのかな今日立夏 々 ○弟と遊びし記憶なく立夏 々

皐月

○子供の日ゲートボールの空き地かな (こどものひゲートボールのあきちかな) ○皐月風寸胴の鯉およがせる 秋甫 ○弟も兄も老人子供の日 々 ○呪術師の呪文にかかる皐月霄 々

五月

○風はしる五月の葎修司の忌 (かぜはしるごがつのむぐらしゅうじのき) ○鳥鳴いて一人もよかり五月の朝 秋甫 ○連休の世もすみもとの五月かな 々 ○おもむろに旅の荷作り皐月晴れ 々

柿若葉

○柿若葉少し派手めの旅の服 (かきわかばすこしはでめのたびのふく) ○実柿より柿の若葉の輝けり 秋甫 ○柿若葉まだ毛虫にも気づかれず 々 ○つるつると滑る言葉や柿若葉 々

暮の春

○乾坤の篝火妖し暮の春 (けんこんのかがりびあやしくれのはる) ○母の忌を修する年や暮の春 秋甫 ○暮の春山も番茶も十八に 々 ○先生に机を見せた暮春かな 々