2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

四月尽

○四月尽昭和平成令和と生く (しがつじんしょうわへいせいれいわといく) ○学食のカレーうどんや四月尽 秋甫 ○ジーパンの東大生に四月尽 々 ○四月尽乗換駅を変へてみる 々

みどりの日(昭和の日)

○今日だけは戦後を思う昭和の日 (きょうだけはせんごをおもうしょうわのひ) ○この頃の気衰え見えて昭和の日 秋甫 ○角(かど)とれてみんなまあるくみどりの日 々 ○明後日は令和となりぬ昭和の日 々

春の夢

○マドリッドの雑踏にゐし春の夢 (マドリッドのざっとうにいしはるのゆめ) ○サンティアゴに春の夢みし風見鶏 秋甫 ○春の夢サンティアゴへの道しるべ 々 ○カミーノの石畳往く春の夢 々

余花

○縁先のよもやま話山の余花 (えんさきのよもやまばなしやまのよか) ○会話途切れて山の余花指し示す 秋甫 ○葉隠れの残花となりて咲き通す 々 ○稜線の雲走り行く余花の雨 々 松山のW.Sさんからの電話

若葉

○楢橡みな若葉して山笑う (ならくぬぎみなわかばしてやまわらう) ○御室から愛宕へ登る若葉かな 秋甫 ○東山寝たる姿に若葉着て 々 ○農校の跡地通れば桑若葉 々 ふるさとは遠くにありて想うものだろうか、ときどき京都の光景が心に浮かぶ。 御室小学校の頃、…

春昼

○春昼や郵便のきて落ちる音 (しゅんちゅうやゆうびんのきておちるおと) ○春昼のぼんやりしている雲と雨 秋甫 ○春昼や遊びに飽きし忘れ潮 々 ○図書館に魔術師がゐる春の昼 々 最近はすぐ眠くなる、特に昼食のあとは著しい。偏に年齢のせいばかりではないの…

○筍飯味はがっつりいり子出し (たけのこめしあじはがっつりいりこだし) ○長靴に蹴った筍持ち帰る 秋甫 ○筍の飯と土佐煮と筑前煮 々 ○筍出てすずめのお宿落ち着かず 々 峠の細い散歩道に筍が毎年はみ出して来て生えているのだ。雨上がりそれを目的に出てみ…

春惜しむ

○岸壁の私とジョナサン春惜しむ (がんぺきのわたしとジョナサンはるおしむ) ○行春を見知らぬ人と釣り談義 秋甫 ○行春の一会の波に鯖の群 々 ○行春や年寄りくさくなって行く 々 やっと水をみてもそれほど寒さを感じないほどに暖かくなった。三島の「がまか…

陽炎

○坂の上バス陽炎ひて現れる (さかのうえバスかげろひてあらわれる) ○手を振ればやがて陽炎ふ電車かな 秋甫 ○君乗せて陽炎ふ中へ電車行く 々 ○物陽炎へる刻吾もまた陽炎ふ 々 結婚してこの地に縁ができた当初は、JRの駅まで国道のバスを利用していた。配偶…

初蛙

○田水きて三日めの初蛙 (たみずきてみっかめのはつがえる) ○田の闇やほどほどが好し初蛙 秋甫 ○家々に声張る頃や夕蛙 々 ○蛙もつ子の柔らかき拳かな 々 今年は下の畑が水田になりそうだ。きのう早々と水が引かれてきた。早速今夜は蛙が鳴き始めている。

穀雨

○図書館のカード忘れし穀雨の日 (としょかんのカードわすれしこくうのひ) ○穀雨の日俳句の種を播く人も 秋甫 ○大潮の砂浜遠き穀雨の日 々 ○本読めばわが心にも穀雨かな 々 わが町の図書館はこんなに立派なものではないが、合併前からの町の図書館としてそ…

昼の蝶

○昼の蝶心変わりは私にも (ひるのちょうこころがわりはわたしにも) ○ジャガイモの花に移りし蝶の昼 秋甫 ○昼の蝶そのひらひらが幻惑す 々 ○収穫のキャベツの上の番蝶 々

春潮

○大巖の螺まどろみぬ春の潮 (おおいわのつぶまどろみぬはるのしお) ○春潮や海賊船を隠す磴 秋甫 ○春潮の螺に問ひけん幡の色 々 ○春潮の満月の夜は螺の旅 々

揚げ雲雀

○樹の雲雀味噌汁の香に目覚めけり (きのひばりみそしるのかにめざめけり) ○揚げ雲雀追えばのんどが開きけり 秋甫 ○揚げ雲雀ここよここよと雲の上 々 ○落ち雲雀弾丸のごと野の繁み 々

鱵(さより)

○銀色に美しきかな鱵鮨 (ぎんいろにうつくしきかなさよりずし) ○瀬戸の朝二隻並んで鱵漁 秋甫 ○鱵の形十頭身の美人かな 々 ○魚屋のさよりは鼻を競いけり 々

春田打つ

○春の田をまず青鷺の品定め (はるのたをまずあおさぎのしなさだめ) ○池の底つく水いれて春田打つ 秋甫 ○国策に物言う農夫春田打つ 々 ○暁を入れて春田の輝けり 々

豆の花

○湧き出でしキラレ辿れば豆の花 (わきいでしキラレたどればまめのはな) ○豆の花この頃はよく風が吹く 秋甫 ○雨ふって詰まらなそうな豆の花 々 ○そら豆の花やジャックは天めざす 々

遠足

○牧羊犬ほし遠足の教師かな (ぼくようけんほしえんそくのきょうしかな) ○遠足の児ら城攻める歩兵かな 秋甫 ○遠足の一人走れば五、六人 々 ○トンネルを出て歓声の遠足児 々

遍路

○結願の一歩警しむ遍路杖 (けちがんのいっぽいましむへんろづえ) ○いちごの花結願の頃は赤い実 秋甫 ○軒に立つ遍路の経やテノールに 々 ○喜捨すれば遍路の経の昴まれり 々

雀の子

○どの家も光回線雀の子 (どのいえもひかりかいせんすずめのこ) ○雀の子トムとジェリーのファンかな 秋甫 ○焼きとりの看板に二羽雀の子 々 ○子雀のパン屑ねだり巧くなり 々

猫の子

○日曜市「子猫もらって」と箱のねこ (にちよういち「こねこもらって」とはこのねこ) ○猫の子の首銜えられ揺れていく 秋甫 ○猫の子や貰われていく児に甘え 々 ○猫の子のみゃあみゃあと口あけにけり 々

桜鯛

○振り売りの路地に捌かる桜鯛 (ふりうりのろじにさばかるさくらだい) ○桜鯛鯵や鰯を従えて 秋甫 ○人の世をしかと見む目や桜鯛 々 ○桜鯛銘々皿の小ぶりかな 々

花まつり

○醍醐から六地蔵への花まつり (だいごからろくじぞうへのはなまつり) ○吹き交わす法螺貝の音も花まつり 秋甫 ○若宮の義農を祀る花まつり 々 ○餅投げて義農宇兵衛の花まつり 々

犬ふぐり

○犬ふぐり岬飛び立つ助走かな (いぬふぐりみさきとびたつじょそうかな) ○ジェンダーの瞳に哀し犬ふぐり 秋甫 ○美くしきものに小いさき犬ふぐり 々 ○犬ふぐりに臥して蒼空掴みけり 々 昨夜みた映画「リリーのすべて」が頭に残っていての句なのか。犬ふぐり…

竹の秋

○竹の秋ひとりが好きと天邪鬼 (たけのあきひとりがすきとあまのじゃく) ○竹藪のさらさら音す竹の秋 秋甫 ○竹の秋無縁仏の埋もれけり 々 ○竹の秋かんたんスマホもて輪に 々 スマホを持ってみようかと考えはじめている。で、市内にある通信機器メーカーを道…

花冷

○花冷やヨナの受難に鯨の腹 (はなびえやヨナのひゅなんにくじらのはら) ○食べて寝て座る一間の花の冷え 秋甫 ○花の冷マンネリズムに檄飛ばす 々 ○花の冷三文判を押しまくる 々 旧約聖書の中に「ヨナ書」という項目がある。「ヨブ記」と同じように受難の書…

初蝶

○初蝶や恋ともいえぬ距離にゐて (はつちょうやこいともいえぬきょりにいて) ○初蝶に誘われ午後の散歩かな 秋甫 ○初蝶の一つ来てまた一つ来て 々 ○初蝶の視野より消えし海光る 々 恋の春でもある。蝶も小鳥もみんな番で飛んでいる。年老いた者もパートナー…

春灯

○「令和」にも美し指話の膨らむ春 (れいわにもうつくししゅわのふくらむはる) ○手漉和紙令和と書する春灯 秋甫 ○華やかに令和を祝ふ京おどり 々 ○この御代にいのち絶えべく春爛漫 々 早速指話でも「令和」という文字ができたようだ。掌を上に向けて、透明…

○一本の桜の下の弁当かな (いっぽんのさくらのしたのべんとうかな) ○さくら咲く幹に少年隠れをり 秋甫 ○初さくらこの先の岐れ道かな 々 ○少年の疵柔らかき初さくら 々 孫は少年期の曲がり角にさしかかっている。来年はもう青年の領域に入ってしまうのだろ…

四月一日

○暁が西に出て四月一日 (あかつきがにしにでてしがつついたち) ○桜餅プチとなる葉脈を噛む 秋甫 ○チャンスの曲奏でる春の甲子園 々 ○花の闇爪研ぐ猫のテラコッタ 々 「令和」が新元号となった。