2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

遅日

○日々遅日へ向かう暦めくりけり (ひびちじつへむかうこよみめくりけり) ○振り売りの魚捌く手の遅日かな 秋甫 ○老友の話遅日に合ひにけり 々 ○手作りの句集を上梓して遅日 々 2018年の句集が出来上がった。雑多に作った1164の句を取捨選択するのが一番…

○小梅の木枝低くければみな童子 (こうめのきえだひくければみなどうじ) ○梅の香やほのかに匂ふ便箋の 秋甫 ○梅山の下に団子の旗揺れて 々 ○桜より梅を選びて産まれきし 々

木の芽風

○尖塔に開かずの扉木の芽風 (せんとうにあかずのとびらきのめかぜ) ○恐竜は爪から生るる木の芽風 秋甫 ○木の芽風花咲か爺の灰乗せて 々 ○あぶら菜の蕾摘みきて木の芽風 々

春めく

○春めくとよく動く猫の髭 (はるめくとよくうごくねこのひげ) ○春めくや窓より月に誘われし 秋甫 ○戒名に童子の名あり春動く 々 ○枕辺に漁する音の春めきぬ 々

春の月

○クーヘンと紅茶と円ろき春の月 (クーヘンとこうちゃとまろきはるのつき) ○廓囲ふ運河に浮かぶ春の月 秋甫 ○春の月女はいつも虜われて 々 ○感嘆詞つけてうっとり春の月 々

春しぐれ

○春しぐれ中距離走の予選かな (はるしぐれちゅうきょりそうのよせんかな) ○朝からの降ったり止んだり春しぐれ 秋甫 ○春しぐれ追っているのか追われているか 々 ○春の驟雨話そこそこ分かれけり 々

春寒し

○プリンターの紙刷る音や春動く (プリンターのかみするおとやはるうごく) ○推敲の原稿束ね春寒し 秋甫 ○春寒し外出をのばし延ばしに 々 ○春寒し光沈みぬ海の色底 々

山茱萸の花

○男孫抱いて山茱萸の花の下 (おとこまごだいてさんしゅうのはなのした) ○画室の絵覗き見るやう山茱萸の花 秋甫 ○山寺に山茱萸の花講話聞く 々 ○土塀より山茱萸の花高く咲き 々

物の芽

○物の芽に名のある草の芳しく (もののめになのあるくさのかんばしく) ○ものの芽の吹けば国会紛糾す 秋甫 ○ものの芽や雨滴を一夜の宿にして 々 ○物の芽や道を残してランダムに 々

雨水

○鴉二羽電線に濡れ今日雨水かな (からすにわでんせんにぬれきょううすいかな) ○アトリエの窓を濡らして雨水かな 秋甫 ○突然の雨風になる雨水かな 々 ○スーパームーン雨水の夜を照らしけり 々

春立

○春立つやパソコンが謀反おこしぬ (はるたつやパソコンがむほんおこしぬ)) ○春立てばアトリエの絵も踊り出す 秋甫 ○パレットの絵具鮮やか春たちぬ 々 ○ネギの茎から青芽出て春立ちぬ 々 2月18日は娘の誕生日である。 今年幾つになったのかちょっとあやふ…

如月菜

○如月菜なまえゆかしき外来種 (きさらぎななまえゆかしきがいらいしゅ) ○水菜はりはり壬生菜しっとり京菜かな 秋甫 ○若者のサラダ感覚京菜にも 々 ○浅漬けの壬生菜刻みて菜飯かな 々

西行忌

○今日ひとひ煎茶淹れにし西行忌 (きょうひとひせんちゃいれにしさいぎょうき) ○義清の名は知らぬれど西行忌 秋甫 ○珈琲を煎茶に替えて西行忌 々 ○西行忌われにも在りし旅心 々 西行の出家する前の俗名は、佐藤義清(よしきよ)だったそうだ。はなはだ恥ず…

春の星

○春星の今生まれむと瞬きぬ (はるぼしのいまうまれんとはまたたきぬ) ○春の星潤めば悲しことあらむ 秋甫 ○春北斗アスリートの癌告白す 々 ○石仏の見上げて潤む春の星 々 池江 氏(水泳選手18歳) が自らの白血病の発症をマスコミに発表した。

余寒

○托鉢の僧の素足に余寒かな (たくはつのそうのすあしによかんかな) ○余寒なほ瑞応寺より頭陀の行 秋甫 ○頭陀行の禅寺を出る余寒かな 々 ○余寒着て托鉢の僧並び行く 々

蕗の薹

○子も孫も同じ香りに蕗の薹 (こもまごもおなじかおりにふきのとう) ○蕗の薹足摺り岬の崖っぷち 秋甫 ○頭出す土に日当たる蕗の薹 々 ○蕗の薹人のルーツは南の国 々

下萌

○下萌や新調の靴揃えけり (したもえやしんちょうのくつそろえけり) ○下萌に遅れまじとや種飛びぬ 秋甫 ○下萌に鼻突っ込んで犬の嗅ぐ 々 ○下萌やチェックインする受験生 々

浅春

○湖に待ちし白鳥の船春浅し(追悼四句) (こにまちしはくちょうのふねはるあさし) ○浅春に一人の農夫葬送す 秋甫 ○浅き春遺品となりしギター置かれ 々 ○春浅く喪主なる妻は肩抱かれ 々 ある弔辞 「自分の信じる道をまっすぐ歩み抜きました」 父は長年、農…

猫の恋

○猫の夫片目潰して威を守る (ねこのつまかためつぶしてゐをまもる) ○いつまでも旗の上がらぬ猫の恋 秋甫 ○納屋の梁二匹三匹うかれ猫 々 ○恋猫の声の真意を測りかね 々

○鶯の昔噺や梅日和 (うぐいすのむかしばなしやうめびより) ○梅の香や庫裏に働く若い妻 秋甫 ○賑やかにおみくじ読めり梅の宮 々 ○玉砂利をしゃりしゃりと梅の寺 々

針供養

○待ち針の色取り取りに針祭る (まちばりのいろとりどりにはりまつる) ○針供養シーツのほつれ夫と縫う 秋甫 ○大くけの一本に足る針納め 々 ○豆腐にも待ち針刺して針供養 々

踏絵

○本踏むと母が叱りし絵踏かな (ほんふむとははがしかりしえふみかな) ○踏絵拒む強き念ひを吾に欲し 秋甫 ○殉教の軛(くびき)となりし踏絵かな 々 ○踏絵拒みし人らゐて海蒼し 々

○蜆子和尚蜆を食って生きにけり (しじみおしょうしじみをくっていきにけり) ○水底の蜆墨染身に纏う 秋甫 ○墨染の蜆に輪廻あるらしき 々 ○授乳する母に作りし蜆汁 々

凍返る

○白湯欲りし真夜のキッチン凍返る (さゆほりしまよのキッチンいてかえる) ○キッチンの棚の金物凍返る 秋甫 ○不登校の子を待つ道の凍返る 々 ○けもの道人が通るや凍て戻る 々

寒明け

○夜来の雨あがって今朝は寒明きぬ (やらいのあめあがってけさはかんあきぬ) ○寒明くる葱の根に緑伸びけり 秋甫 ○寒明くる印に沖の雲空ける 々 ○寒明けて釣り糸垂るる人の景 々

豆撒

○逃げること好きな子がゐて豆あられ (にげることすきなこがいてあめあられ) ○鬼の面つけて豆撒く子もをりぬ 秋甫 ○鬼の面離さず豆に打たれけり 々 ○豆まきの豆の高値に小さき枡 々

薄氷

○薄氷みな割っていく登校児 (うすごおりみなわっていくとうこうじ) ○グランドにバケツの形した氷 秋甫 ○机拭く当番回す薄氷 々 ○薄氷舐めいく犬の舌紅し 々

二月

○コレッリの曲に目覚める二月かな (コレッリのきょくにめざめるにがつかな) ○二月の山雪の裾野を広げけり 秋甫 ○この月に締め切りのある二月きて 々 ○二月の雨スイートピーの蔓伸ばす 々 厳かな楽の音が徐々に目覚めを誘引していた。雨模様の窓の外はうっ…