2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

八月尽

○大魚の腹に雑魚がぞろぞろ八月尽 (たいぎょのはらにざこがぞろぞろはちがつじん) 食物連鎖 ○八月尽鍋とお釜と燃える火と 秋甫 ○稲妻やら雷鳴るやら八月尽 々 ○便覧に人を調べて八月尽 々 私の前にある鍋とお釜と燃ゆる火と 石垣りん それはながい間 わた…

秋めく

○秋めくやワイングラスを合わす音 (あきめくやワイングラスをあわすおと) ○マロニエに実の影見えて秋めきぬ 秋甫 ○秋めきし宝ヶ池のカフェテラス 々 ○マチネ待つ珈琲の香に秋めくや 々 ある日ある時 黒田三郎 秋の空が蒼く美しいという ただそれだけで な…

狗尾草

○唇に戦慄走る狗尾草 (くちびるにせんりつはしるえのころぐさ) ○老猫の口ひげ堅し猫じゃらし 秋甫 ○えのこ草振って猫の子遊ばせる 々 ○ゑのころに露孕ませて夕立ち去る 々 キツネの館 安水稔和 (キツネの柵ともいう。しんきろうのこと) 砂漠でみたとか …

糸瓜

○宿題の糸瓜数えて屋根の上 (しゅくだいのへちまかぞえてやねのうえ) ○糸瓜の実食べごろも過ぎ垢擦り 秋甫 ○糸瓜水名月見せて集めをり 々 ○糸瓜水使用前後の顔ふたつ 々 谷川俊太郎 朝のかたち 昨夜から思いつめていたことが 果てのない荒野のように夢に現…

盆の月

○枕辺に十六日の盆の月 (まくらべにじゅうろくにちのぼんのつき) ○墓閉じし里の暮しに盆の月 秋甫 ○盆の月縁薄しと思ひしや 々 ○阿波の山越し来て見える盆の月 々 夕 原民喜 わたしはあそこの空に見とれてゐる。今の今、簷近くの空が不思議と美しい。 一日…

○満月に吠えたくなるや屋根の上 (まんげつにほえたくなるややねのうえ) ○月見草富士が最も似合ふらし 秋甫 ○大根芽のひとつひとつの月光る 々 ○野の草の眠る形に月の影 々 夜電気を消すと外が銀色に輝いて美しい。満月だった。下の田畑は昼間見せない厳か…

鶏頭

○寂聴の句集に鶏頭燃えてをり (じゃくちょうのくしゅうにけいとうもえてをり) ○鶏頭はまこと鶏冠の色したる 秋甫 ○カンナ燃え旱の川を渡るらん 々 ○二河白道カンナ畠へ落るもよし 々 参加している俳句誌のエッセイ欄が今月末締め切りの当番で回ってきたの…

ほおずき

○冥土まで枯鬼灯の案内かな (めいどまでかれほおずきのあないかな) 颱風20号一過 ○ほおずきやむかしむかしの蚊帳の中 秋甫 ○鬼灯の「ひとつ灯もせ」朱の炎 々 ○朱の御簾を破れば玉の鬼灯坊主 々 颱風20号 [ 日本海を北へ抜けて行った後、又もとの猛暑。 …

朝顔

○朝顔の明日咲く花を数えけり (あさがおのあすさくはなをかぞえけり) ○あさがおの押し花つくる一家かな 秋甫 ○碧色のあさがを多く空寂し 々 ○朝顔の自らゆれて開きけり 々 この数年の間に、軒下の陽陰作りはもっぱらゴーヤに変化しているように思う。ゴー…

盆踊

○浴衣着たウルトラマンの盆踊り (ゆかたきたウルトラマンのぼんおどり)盆踊り ○薄縁の路地に一日地蔵盆 秋甫 ○地蔵会や老女ひとりの灯守かな 々 ○仮装大賞はサイダー一ダース 々 浴衣着たウルトラマンを見たってちっとも頼りになるなんて思わないね。よっ…

落蝉

○秋の蝉芭蕉慕って立石寺 (あきのせみばしょうしたってりっしゃくじ) 立石寺の蝉塚 ○落蝉や僧の辞世に「死にとうない」 秋甫 ○残る蝉少数派とて声低く 々 ○死ぬ時は墨染のまま法師蝉 々 高僧の臨終に弟子たちが取り囲んで僧正一言お言葉をと要請して、一同…

夜の秋

○水槽は亀が一匹夜の秋 (すいそうはかめがいっぴきよるのあき) ○茄子の絵の紫青き夜の秋 秋甫 ○夜の秋安田祥子の「あかとんぼ」 々 ○居酒屋に下半身見えて夜の秋 々 この2,3日秋めいた気配である。生命力が蘇ってくるような気がする。人間らしい誇りを取…

秋意

○縁側に猫眠りをる秋意かな (えんがわにねこねむりをるしゅういかな) ○釣り人の磯に秋意の濤たちぬ 秋甫 ○鵙の声啼き止む時や秋意満つ 々 ○海の藍青に秋意を染めにけり 々

今朝の秋

○今朝の秋ソウル女王の訃を聞けり (けさのあきそうるじょおうのふをきけり) アレサ.フランクリン ○同胞の黒人霊歌秋立ちぬ 秋甫 ○一匹の亀の水にも今朝の秋 々 ○今朝秋や亀はゆっくり頭上ぐ 々 アメリカ人ソウル歌手のアレサ・フランクリンすい臓がんのた…

秋蝶

○秋蝶のわが胸にきて鼓動聞く (あきちょうのわがむねにきてこどうきく) ○指させば指に止まりく秋の蝶 秋甫 ○秋蝶は堰堤の水欲るらしき 々 ○大庇より秋蝶の空広がりぬ 々 秋の気配が急に濃くなった。窓から見える山の稜線がすっきりと美しい。丘の団地の人…

送り火

○送火や茄子の背に亀乗せてやる (おくりびやなすのせにかめのせてやる) 大文字山の送火 ○盂蘭盆会水槽の亀の水替える 秋甫 ○亀の死は四十年目の夜市の日 々 ○子の亀を送火の日の葬りや 々 ミドリ亀の死。 亀が死んだか生きているのか、寝ているだけで生き…

終戦日

○終戦日伝道の書にタブレット (しゅうせんびでんどうのしょにタブレット) ○白寿の書平積みにして生身魂 秋甫 ○魂迎胡瓜の馬に乗せたき人 々 ○終戦日父は敗者としてもどる 々 未完現実の原稿を瀬戸内寂聴の句集「ひとり」にしたいと思って一冊に載っている…

流れ星

○流れ星三つと三つの願いごと (ながれぼしみっつとみっつのねがいごと) ペルセウス座流星群 ○流星に願い呟く飛距離かな 秋甫 ○流星群天の戦や火矢数多 々 ○ペルセウスが火矢打ち放つ流星群 々

八月大名

○マウイ島のレイ掛けて八月大名 (マウイとうのレイかけてはちがつだいみょう) 農閑期 ○からころと八月大名湯治下駄 秋甫 ○宿ゆかた八月大名片肌に 々 ○八月大名農事メモまた覗く 々 「八月大名」 忙しいお百姓の仕事にも、刈り入れの前などちょっと一休み…

鰯雲

○さよならの一打を呑むや鰯雲 (さよならのいちだをのむやいわしぐも) 甲子園の空 ○鰯のへしこ昼餉の菜に兄とふたり 秋甫 ○いわし降る伝え残りし海の町 々 ○ゆく日々の一日を魅せる鰯雲 々3回戦進出を決め喜ぶ済美ナイン 甲子園済美 13回逆転サヨナラ本…

玉蜀黍

○B29唐黍の上飛んだ日よ (B29とうきびのうえとんだひよ) ○大島の異人の焼くはもろこし麺麭 秋甫 ○唐黍のよき粒見せて売らるるや 々 ○とうきびを備長炭で焼く夜店 々 滋賀に疎開していた頃、といっても1943年生まれの私は自分自身の記憶としての戦…

洗い髪

○バッサリ切って心寂しき洗い髪 (バッサリきってこころさびしきあらいがみ) ○髪染めの箱より黒き髪洗う 秋甫 ○「砂漠のキツネ」映画観て髪洗う 々 ○髪洗う一日二度の告解も 々 ━The little Prince━ "Here is my secret. It is very simple: we do not see …

蜻蛉

○黄の衣精霊蜻蛉が墓の前 (きのころもしょうりょうとんぼがはかのまえ) 盆蜻蛉 ○銀やんま夕餉の卓を吟味する 秋甫 ○秋茜里へ帰る日山の駅 々 ○白熱の甲子園にも盆とんぼ 々 家の周辺では赤とんぼが見られなくなった。精霊トンボと呼ばれるくすんだような黄…

蠍座

○蠍座の赤き心臓アンタレス (さそりざのあかきしんぞうアンタレス) 夏の星座 ○洪水の逝けば忽ち大旱 秋甫 ○この年の一際赤く旱星 々 ○灼ける野も夜には虫の宿りけり 々 今年の2月にさそり座のアンタレスと火星は接近して並んでいた時があったらしい。夜空…

向日葵

○ひまわりに梯子架けたる観察記 (ひまわりにはしごかけたるかんさつき) ○きみは百合より向日葵だねと言われ 秋甫 ○向日葵の育ちて後の迷路かな 々 ○向日葵やソフィアローレンって謂う女優 々 子供が小学校2年生の時、夏休みの自由研究で「ひまわり」の観察…

原爆忌

○八時十五分黙祷して原爆忌 (八じ十五ふんもくとうしてげんばくき) 原爆の図 ○兄と観し「原爆の子」や広島忌 秋甫 ○死は今も弱き者より広島の日 々 ○弔いに蟻つながりて原爆の日 々 高校の時、天満の駅前でカンパに参加した。「原水協」って言ったかな、民…

茄子の牛

○汝が乗れば転びにけりな茄子の牛 (ながのればころびにけりななすのうし) ○冥土への道はなかなか茄子の牛 秋甫 ○茄子の牛心許なき箸の脚 々 ○茄子の牛千里歩けば冥土かな 々 瀬戸内寂聴の「ひとり」句集が届いた。 一頁に一句、なんと贅沢な装丁か、全句で…

定斎屋

○定斎屋今年の暑さ言うて行く (じょうさいやことしのあつさいうていく) 江戸時代の薬売り ○旅宿に定斎売りの水中り 秋甫 ○ひそひそと祖母と話すや定斎屋 々 ○定斎屋来しその晩の腹下し 々 またまた子供の頃の話になるが、甲賀の田舎の家には囲炉裏の隅の柱…

嶺の雲

○嶺の雲未来都市には大理石 (みねのくもみらいとしにはだいりせき) アシガバード (トルクメニスタンの首都) ○峰の雲豊受山から雨になる 秋甫 ○夏の雲鶺鴒の尾は高く低く 々 ○雨乞いの唄も踊りも萎れにけり 々 トルクメニスタン

天牛(かみきりむし)

○天牛の身を反らしてはギイと啼く (かみきりのみをそらしてはギイとなく) ○天牛(かみきり)のまだら模様を着てみたし 秋甫 ○天牛(かみきり)のプラダや英恵着てをりぬ 々 ○触角をモデルのやうに天牛(かみきりむし) 々 カミキリムシもまたお洒落だと思…