2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

○春翔つや今日廃線の片道切符 (はるたつやきょうはいせんのかたみちきっぷ) それぞれの春休み ○束の間の青春切符春一日 秋甫 ○胎からの青春透ける春光り 々 ○友という絆生れし春休 々 三江線(広島の三次〜島根の江津)が今日をもって廃線になる。駅めぐり…

蘆の角

○この形終の棲家か蘆の角 (このかたちついのすみかかあしのつの) 終の棲家 ○柔らき夢を抱きて蘆の角 秋甫 ○蘆の角とて緑の芽旨かりし 々 ○いつの間にか一日四句蘆の角 々 日本の人口が減少傾向にあるということはかねてから言われていることである。今1億…

山笑う

○山笑う讃岐の僧とうどん食ふ (やまわらうさぬきのそうとうどんくう) 讃岐うどん店 ○村長(むらおさ)も掟もなくて山笑う 秋甫 ○山笑うピンチの裏にチャンスあり 々 ○窓に来てころころ丸く山笑う 々 山の木々は新芽が吹き出し、桜が色を添えて山はまったく…

○遅咲きの句歴十年山桜 (おそざきのくれき十ねんやまざくら) 句歴十年 ○花より団子昔かるたの花吹雪 秋甫 ○池の亀首に乗せたる花衣 々 ○この年の愛しく想う桜花 々 句を作り初めて今年10年目になる。年々どっぷりと浸かって漬物ならいよいよ古漬けの領域…

○朝な夕な霞易しき独りかな (あさなゆうなかすみやすしきひとりかな) 霞の世の中 ○一村を霞の底に暮しをり 秋甫 ○鐘の音や霞棚引く高さより 々 ○夕霞幽霊船を沖に泊め 々 目が霞んでいるのか、世の中が霞んでいるのか、何もかもぼんやりと頼りない。大方は…

踏青

○踏青や縄文人の足の跡 (とうせいやじょうもんじんのあしのあと) 青き踏む ○アメーバーのいのちの形杉菜ふむ 秋甫 ○人間の進化の証し青き踏む 々 ○青き踏み足の裏から芽が出そう 々 二足歩行のロボットなどが労働者として仕事を始めるようになると、人間の…

野焼

○野焼の炎陽と交われば歓喜の声 (のやきのひひとまじわればかんきのこえ) 草燃す ○夕野焼家路に遠き吉野川 秋甫 ○末黒野(すぐろの)や雨の空まで暖かし 秋甫 ○末黒野(すぐろの)のすぐ萌え出づる豆菜かな 々 遠出の帰途、吉野川の堤防沿いを走ることはよ…

沈丁花

○沈丁花玄関へ置く男下駄 (ちんちょうげげんかんへおくおとこげた) お寺の沈丁花 ○沈丁や読経響けり脇障子 秋甫 ○孕猫沈丁の香を避けてをり 々 ○夕暮れの沈丁の香の在り所 々 玄関の男下駄は意味深長。戸を開けて入ったときがっちりとした男下駄が置かれて…

卒業子

○卒業子鍋釜もって巣立ちけり (そつぎょうしなべかまもってすだちけり) みんな卒業していく ○卒業子この道の石蹴ることなし 秋甫 ○卒業子第二釦を求められ 々 ○卒業子戦などせず生き抜けよ 々 今年も多くの若者が学び舎を巣立っていった。地球上には聖戦と…

鳥帰る

○雨止めば雲の辺りを鳥帰る (あめやめばくものあたりをとりかえる) 漸く雨あがる ○川沿いに群れを加えて鴨帰る 秋甫 ○鳥帰る三日の雨も止みにけり 々 ○鳥帰る蒲団干さずに仕舞いけり 々 渡りの距離No1 キョクアジサシの場合 1年をかけて北極と南極を往復…

お彼岸

○一軒の周り墓なる彼岸入り (いっけんのまわりはかなるひがんいり) 墓参り ○彼岸寒村にお墓の多かりき 秋甫 ○彼岸雨お墓の村に水いらず 々 ○傘かざし線香守る彼岸墓 々 正岡子規の句に ○毎年よ彼岸の入りに寒いのは 子規 が、あるが、作者によると母親が言…

○早蕨や拳握りて生まれけり (さわらびやこぶしにぎりてうまれけり) 蕨狩り ○老人のコロニー閑と蕨野行 秋甫 ○蕨採り灰汁とる灰を山に焚く 々 ○マタギきて太き蕨をくれて行く 々 ○蕨狩りこれより先は姥捨山 々 2003年公開された恩地日出夫監督の「蕨野…

蒲公英

○たんぽぽや女集へば鍋と釜 (たんぽぽやおんなつどえばなべとかま) 和蒲公英でありたい ○たんぽぽや○▽(まるさんかく)のアニミズム 秋甫 ○蒲公英や古墳の神は多産系 々 ○蒲公英やどっかとお尻置かれけり 々 何かというと鍋や釜を持って集まるのが女の習性…

芋植うる

○「裏に居ます」貼り紙にして芋植うる (うらにいますはりがみにしていもううる) 里芋を植える季節 ○種芋の余りて夕餉の菜に煮る 秋甫 ○芋くれて土筆を礼にもたせけり 々 ○芋植うる一日家を留守にして 々 賢治の羅須地人協会の入り口には黒板が掛かっていて…

涅槃西風

○農休む日となりにけり涅槃西風 (のうやすむひとなりにけりねはんにし) 再び山に冠雪 昨夜は雨風が激しかった。 ○涅槃西風釈迦の迎へと思えども 秋甫 ○貝寄風や法螺貝に口ついてある 々 ○貝寄風やなごりの雪を山に掛け 々 涅槃西風はお釈迦さまが亡くなら…

土筆

○つくし煮て苦きこうべを喜べり (つくしにてにがきこうべをよろこべり) 野の草三昧 ○降りやまず三度三度の青菜飯 秋甫 ○青菜飯朝昼晩に色褪せし 々 ○春草を食ってモウーと哭きにけり 々 ○みどりの芽旨そうな春となりけり 々 暖かくなったり雨が降ったりし…

春暁

○春暁や今灯を消しぬ碇泊船 (しゅんぎょうやいまひをけしぬていはくせん) 春は曙 ○春あけぼの階下に残るすき焼の香 秋甫 ○春暁や君は胎児のごとく眠る 々 ○眼裏に春暁の色とじ込めて 々 春は曙。やうやう白くなりゆく山際、少し明りて、紫だちたる雲の細く…

春潮

○堤下りて春潮の端手に計る (ていおりてしゅんちょうのはしてにはかる) 春の海 ○春潮や大島へ行く定期便 秋甫 ○一湾を出て春潮の大路かな 秋甫 ○春潮や灯ともす船を浮かべをり 秋甫 水温むという季語には少し時間が経った感がある。 では、春潮ならと思っ…

あたたかや

○あたたかや荒鋤の土匂ひ発つ (あたたかやあらすきのつちにおいたつ) 土筆採り To W君 Thank you White Day's cookie and the letter. It is very delicious and delighted. You are playing the last baseball in high school, don't you? That week, …

春愁

○春愁訴げて老愁と応酬され (しゅんしゅうつげてろうしゅうとおうしゅうされ) 老愁 ○白魚のすり抜けていく歯のすき間 秋甫

○朝雉の尾羽さげゆく一途な恋 (あさきじのおばねさげゆくいちずなこい) 喉元過ぎれば ○あの津波想い出すため目刺焼く 秋甫 ○あの時刻目刺焼いてた時津波 々 去年の今頃は孫の高校の合格発表でやきもきしていた。最近の傾向としては中学受験が主流で高校の…

春の雪

○稜線のこんなに綺麗春の雪 (りょうせんのこんなにきれいはるのゆき) 山が雪化粧 冷えると思ったら窓の外の山は雪化粧をしていた。眠りから覚めようとしていた矢先の山は雪に美しく装っていたのである。 旧い友人から今年金婚式を迎えたという便りがあった…

春の雨

○いつの間に軒より落ちる春の雨 (いつのまにのきよりおちるはるのあめ) 傘はいらない 春の雨は時に外に出て手をかざしてみるまで降っているのか分からないことがある。キッチンの窓から枝やフェンスが水滴を抱いているのを見て、やっぱり降っていたのだと…

土筆

○朝からの雨降る日には土筆煮る (あさからのあめふるひにはつくしにる) 雨もよう 今日は雨になる天気予報だったから、一週間前に少し摘み取った場所で、昨日のうちに土筆採りを済ましておいた。朝からその土筆を煮て佃煮を作り始めた。

春めく

○今朝の鐘目覚めし部屋の春めくや (けさのかねめざめしへやのはるめくや) 明け六つの鐘 実相寺の鐘は毎朝5時50分頃に撞かれる。早春の今の時期は漸く空が明るくなり始めるから、鐘の音を目覚まし時計にして生活を開始するようにしているのである。とこ…

啓蟄

○啓蟄や畳に蟻の先鋒隊 (けいちつやたたみにありのせんぽうたい) 虫出でぬ 大地が温まり土の中でちじこまっていた虫たちが地上へ出てくる頃。早や我が家の居間にも啓蟄の儀式とばかり蟻がぞろぞろ出てくる始末。 この蟻には去年の暮にまで及ぶ出没に肌を粟…

うぐいす菜

○稚き胸のふくらみ鶯菜 (いとけなきむねのふくらみうぐいすな) 鶯菜の一夜漬け 私の漬物好きは子供の頃から始まる。きっと京都という環境から与えられた嗜好に違いないが、当時の漬物事情はご飯を食べるためのおかずだったもので、漬物は今もその感覚で大…

三月

○三月の麦立ち直り易からむ (さんがつのむぎたちなおりやすからむ) AIのデーター ━AI(ひろし君)が収集した働き方━ ○仕事の効率を上げたければ11時間54分以上働け ○仕事に対する満足度が高い人は、お金に余裕のない人で水道の栓をこまめに閉めない…

雛まつり

○雛あられ抜歯のあとへ嵌りけり (ひなあらればっしのあとへはまりけり) ひな祭り ○緋毛氈白酒は辛口にして 秋甫 ○ひなまつり婆も着てみる紅いべべ 々 ○ひなあられ二才の子より劣る口 々

春うれう

○今朝の鳥空を見上げて春憂う (けさのとりそらをみあげてはるうれう) 渡り鳥だろうか 先日西条の鴨川沿いにやや高い空を鳥たちが集まりながら北の方へ飛んで行く姿を見た。木々に遊んでいる鳥たちも朝を迎えると出発の時を考えたりしているのだろうか。 「…