2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

夏蒲団

○夏ふとん深夜ラジオの囁ける (なつふとんしんやラジオのささやける) 深夜放送 眠れない時はラジオを掛けます。「ジェットストリーム」や「ラジオ深夜便」など自然と眠くなるまで優しく語りかけてくれます。テレビ画面で目を瞑るとその機能を半分拒否して…

夏帽子

○じゃあねと別の顔する夏帽子 (じゃあねとべつのかおするなつぼうし) 帽子の顔 私は帽子が好きで外出時は、四季を問わずたいてい頭に乗っています。気持ち的には人目を避けたい願望があるのかもしれません。自分のことはさておき、帽子で随分イメージが変…

雨安居

○雨安居写経の文字も滲みをり (あめあんごしゃきょうのもじもにじみをり) 雨がつづきます 外を見ていて雨が上がると庭に出て木を切ったり、草を引いたり気分転換はできます。けれど今日は朝からずっと雨は上がる様子を見せません。

半夏生草

○半夏生草迷彩服の畑仕事 (はんげしょうめいさいふくのはたしごと) 片白草 半夏生草(はんげしょう)は別名片白草とも呼ばれているように、葉っぱの一部が白くなっているのだそうです。散歩の次いでに探してみましたが、該当するような草はみつかりませんで…

牛蛙

○牛蛙なかなか合わぬ周波数 (うしがえるなかなか合わぬしゅうはすう) 異種蛙 雨が降り初めてから、夜になるとカエルの声が一段と賑やかに聞こえるようになりました。 昨夜、いつも聞きなれたかれらの声にときどき不調和な音(いつもはだいたいガ行の音なの…

梔子の花

○梔子の花の崩れや梅雨最中 (くちなしのはなのくずれやつゆさなか) 白い花 雨が降ると特に白い花は惨めです。力なくしな垂れてすぐに薄茶色に汚れてしまうからです。 「セカンドハンドの時代」はその本のタイトルと同じように、古本をネットで買いました。…

明易し

○不眠とて朝の電話や明易し (ふみんとてあさのでんわやあけやすし) 「セカンドハンドの時代」 ネットで注文していた本が届きました。活字も小さく、なによりもその分厚さに圧倒されています。作者は2015年にノーベル文学賞を貰ったウクライナ生まれの…

今年竹

○少し首傾ける癖今年竹 (すこしくびかたむけるくせことしだけ) 成長期 青い成長期は上へ上へと伸びるのですね、彼らはあまりに伸びる速度が速くて横に張る余裕がないのです。自然とトップを維持できなくてうなだれる形になるのでしょう。 久しぶりに子供へ…

夏至

○夏至の日をうっかり忘れ夜の机 (げしのひをうっかりわすれよのつくえ) 机の灯 永い一日をついうかうかと過ごしてしまい、すっかり夜になってから机に座るはめになりました。これでも一応は毎日果たすノルマを作っています。あれとこれ、などと恥ずかしく…

京鹿子

〇京鹿子雨密やかに降れよかし (きょうがのこあめひそやかにふれよかし) ちりめん絞り 京都のちりめん絞りは可愛くて華やかですが、花の京鹿子(きょうがのこ)は大樹の下の陰に咲いているようなイメージがあって一転してしまいます。 子供の頃、着物を着…

結葉

○結葉やこの世あの世に別れあり (むすびはやこのよあのよにわかれあり) 忘れ川 ソクラテスの言うには、この世とあの世の間に忘却の河というのがあって、そこを渡ってこの世に生まれるらしいのですが、忘却の河のお陰で何にも覚えていないそうです。

太宰忌

○太宰忌や捨てきれず持つ日記帳 (だざいきやすてきれずもつにっきちょう) 段ボール箱の日記帳 生前整理の第一番は、十代の頃からの夥しい日記類であることは承知していますが、ただ書くという行為に生を預けてきたのかもしれないとどこかで慰めているふし…

苔の花

○書に倦むや珈琲もよかり苔の花 (しょにうむやこーひーもよかりこけのはな) 百一歳の洋画家 新日曜美術館は百一歳の洋画家、入江一子をやっていました。絵は小学校の頃から好きで描きはじめ、毎日一枚描くまでは食べたり寝たりしないと自身に言い聞かせて…

青芒

〇青芒吐き出す為に猫の食う (あおすすきはきだすためにねこのくう) 吐き出す 70数年も生きてくるとしがらみというのが、無いようで有るのですね。自分でも随分と勝手気ままな性格に思っていますが、それでも何か吐き出せないで、体内がすっきりしないの…

草いきれ

○間歩出でて人の恋しき草いきれ (まぶいでてひとのこいしきくさいきれ) 筏津坑 数年前までは、筏津山荘という民宿が営業されていて、敷地内の池ではアユの養殖も行なわれ、あゆ料理や秋にはマッタケ料理などををわざわざ食べに来る人もあったのですが、山…

花栗

○花栗の妄々として胸苦し (はなぐりのもうもうとしてむなぐるし) 山遊び 梅雨といってもお天気つづきで、アウトドアには最適です。道々に栗の花が咲いていて、それは生命の繁殖力を勝ち誇るかのように周辺を圧倒していました。 冨郷の山へ行ってきました、…

蝸牛

○蝸牛パリ仕立てとてエスカルゴ (かたつむりパリしたてとてエスカルゴ) エスカルゴ ベゴニアの鉢に蝸牛が這っていました。梅雨といってもまだそれらしい雨は降っていなくて庭の土はからからに乾いています。そのせいか、この時期に出てくる虫たちは姿を潜め…

みどりの夜

○風入れて暫し本読むみどりの夜 (かぜいれてしばしほんよむみどりのよ) 涼しい梅雨 就寝前に読書をする習慣があって、この頃は蒸し暑くもなく就寝する時間帯に窓を開けたままにしていると肌寒いくらいです。読み物は宇江佐真理の江戸人情もので、ヨーロッ…

雀の担桶

○雀の担桶も枕も地球は青い (すずめのたごもまくらもちきゅうはあおい) イラムシの繭 雀の担桶(たご)。これはうちの庭のカリンの木にくっついているのは見てしっていましたがこれを「雀の担桶」と言うのは初めて知りました。 担桶といえば、子供の頃は肥…

山法師

○堂出づる行者の顔や山法師 (どういづるぎょうじゃのかおややまぼうし) 叡山の千日回峰行 この花が山法師と名づけられたのは、叡山の僧兵が白い頬かぶりをして山から下りて京の町を襲撃したところからというのです。 比叡山には「千日回峰」という、叡山の…

時の日

○時の日や融通きかぬ優等生 (ときのひやゆうずうきかぬゆうとうせい) 時の記念日 絡繰り時計や大時計は至る所にあるようですが、まず私が実際に行ってみたのは、スイス.ベルンの絡繰り時計と、イギリスのビッグベンと、身近なところでは、道後の坊ちゃん絡…

梅雨はじめ

○ドロップの缶からからと梅雨はじめ (ドロップのかんからからとつゆはじめ) ドロップの缶 子供の頃、本当はドロップがあまり好きではありませんでした。どれもすこし酸っぱかったのです。好きなお菓子で今でも覚えているのは、動物を形どったビスケットで…

花菖蒲

○猿踊てふ花菖蒲赤み帯び (さるおどりてふはなしょうぶあかみおび) 梅雨入り 梅雨に入ったという報道がありました。でもお天気は気まぐれです、今日はだんだん晴れてきて降らなかったのです。 昨日はしっかり雨が降りました。その雨の中を坂出の「かわつ花…

梅雨入

○梅雨入かとて頷ける今朝の雲 (つゆいりかとてうなずけるけさのくも) 梅雨入りの可能性 最近の天気予報では梅雨入りとははっきりと言わないで、梅雨に入った模様とか、梅雨に入る可能性があるという表現をとります。

薬降る

○鳥蛙みなよろこべり薬降る (とりかえるみなよろこべりくすりふる) 神水 旧暦の5月5日の正午ごろ雨が降ると、その雨を神水として薬が作られたということです。 「薬降る」は夏の季語で、新暦でいくと6月の2,3日くらいになるのでしょうか。残念ながら…

○落梅のチフスに罹ると祖母が教え (おちうめのチフスになるとそぼがおしえ) 落ちた梅の実 母の実家は山の中腹にあって、その登り口の土手には梅の木がありました。落ちている実を見ると、美しい黄色だったり、ほんのり赤身を帯びていたり、おやつなどなか…

ベゴニア

○ベゴニアの心安きを前に置き (ベゴニアのこころやすきをまえにおき) 玄関の鉢 今年、庭のあちらこちらに、どこからか飛んできたベゴニアが芽を根付かせていたので、春の前にそれらを集めて二つの鉢に寄せ集めて植え替えてみました。 それが今、勢いよく伸…

どくだみ

○どくだみや境界線の根は深し (どくだみやきょうかいせんのねはふかし) [境界線争い 土地の境界線紛争といえば、じびじびとしこりをもって長くつづくのが常套のようです。争いのその上にどくだみの花でも咲いていようものなら、鬱陶しく陰湿なイメージがも…

十薬

○十薬や句友が君の白衣かなし (じゅうやくやくゆうがきみのはくいかなし) 奈良の句友 私自身医療関係に長年勤めていた関係で、看護師の友人は多いのですが、その中で同じく句を作る人が二人います。 その二人とは別々なつながりで、50年近く交流がつづい…

更衣

○志学の手ポケットに入れ更衣 (しがくのてポケットにいれころもがえ) 夏服へ衣替え この日は学校の制服も夏服に衣替えする日でしょう。 実は心の底で孫にがんばれー!ってエールを送っているのです。青春の特有の鬱屈のなかに徐々に深く入り込んでいるので…