2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

冬三日月

○窓の外の冬三日月の刃かな (まどのとのふゆみかづきのやいばかな)

笹鳴き

○笹鳴きや母の洗濯糊固し (ささなきやははのせんたくのりかたし)

寒月夜

○寒月夜猫の跳梁影二つ (かんづきよねこのちょうりょうかげふたつ)

凍星

○凍星や終末時計あと二分半 (いてぼしやしゅうまつとけいあとにふんはん) 終末時計残り2分30秒 昨年は思いがけないことが続いた。一つはイギリスが国民投票でユーロ圏から離脱を決定した。もう一つはトランプ氏が大統領に当選したことである。突然降っ…

野焼守

○野焼守火守の神を背負いをり (のやきもりひもりのかみをせおいをり) 野焼 私には連想される二句がある ○落ち葉炊いて葉守の神を見し夜かな 芥川龍之介 ○銀杏落ち葉集まれば陽もまた集まりぬ 井筒 安男

受験子

○受験子の求める宇宙の膨れけり (じゅけんしのもとめるそらのふくれけり) 受験生が避難してきた 近くに住む遠縁の中3生が不手際で家に入れなくなっと言って訪ねてきた。外は冷たい風が吹きあれていたから、我が家は早い夕食中であったが家に招き入れた。 …

水仙

○野水仙てんでんに向き師を知らず (のずいせんてんでんにむきしをしらず) 野水仙 自然に群生している花は遠目に多ければ多いほど美しく見える。然し近づいてじっくり鑑賞してみるとまるでばらばらで、美しいと見る観点がはぐらかされる。

冬の海

○荷揚げ待つ船の間の冬の海 (にあげまつふねのあいだのふゆのうみ)

冬木の芽

○揺るがざる己が力と冬木の芽 (ゆるがざるおのがちからとふゆきのめ)

寒禽

○寒禽や木の上の仙人と化す (かんきんやきのうえのせんにんとかす) 樽の中にはディオゲネス ギリシャの哲人は樽の中に居た。王は彼の前に立って、「何か援助をすることはないか」とディオゲネスに訊いたところ、「自分の前に立って影を作らないでほしい」…

初大師

○鶴亀の粒餡熱し初大師 (つるかめのつぶあんあつしはつだいし)

大寒

○大寒や路に振売の魚捌く (だいかんやろにふりうりのうおさばく)

冬菜畑

○明時の道まろび落つ冬菜畑 (あかときのみちまろびおつふゆなはた)

蛇の髭

○蛇の髭の瑠璃の玉撃つ竹鉄砲 (じゃのひげのるりのたまうつたけてっぽう)

お茶の花

○地境のその陽当たりのお茶の花 (ぢざかいのそのひあたりのおちゃのはな) お茶の花と親しくなった ○お茶の花きのふ雀と話していたね ○この頃はあの人見んねお茶の花 ○お隣は戻って来ないよお茶の花 ○内緒だよ夢があるのよお茶の花 すっかり桃源郷へ行きつ…

寒卵

○神さまと受験の朝の寒卵 (かみさまとじゅけんのあさのかんたまご) 孫が高校受験 昨夜につづいて今夜も月は明るかった。昼はストーブの横でうつらうつらなのだから、どこかでしっかり目を覚ましておかなければと本能は頑張っているのだろう。で、起き出す…

寒月光

○寒月光真っ白い雲走らせる (かんげっこうまっしろいくもはしらせる) 一月の月 夜ベッドの窓に月が明かるかった。気温も相当低く寒いのでブラインドを降ろすところであるが、窓に入ってくる雲の動きを見るのも興味があった。すっかり目が覚めてしまったの…

初場所

○初場所や懸賞旗の廻りけり (はつばしょやけんしょうばたのまわりけり) 懸賞旗もお年玉 この初場所は今のところ正代が元気だ。初場所は懸賞旗も多く出るのだろうか。一旗の懸賞額はいくらなのか気になった。一旗62000円で一日一旗の最低でも15日分…

なまはげ

○なまはげが捕まる老の長話 (なまはげがつかまるろうのながばなし) なまはげの事情 最近なまはげの仕事が変わってきたという。 「嘘をつく子はいないか〜、怠ける子はどこじゃ〜」といって子供を追いかけて心に宿っている邪悪を追い払うのが彼らの役目であ…

息白し

○息白し手を振るわれを鴉見る (いきしろしてをふるわれをからすみる) 手を振るわれ 寒気団の到来で朝の息は白い。「気を付けてね」とでも言って手を振ったけど、電柱に留まっていたカラスが首を傾げて見ていた。 「何だい、どうしたっていうんだ。カラスの…

冬麗か

○冬麗らか何する船や帆も見えて (ふゆうららかなにするふねやほもみえて) 冬の海 快晴で瀬戸内は遠くの島まではっきりと見える。波は静かに明るい。荷揚げを待つ貨物船だけでなく、輝く海をめでるように白い船も見えた。

年賀状

○印刷の文字読み直す年賀状 (いんさつのもじよみなおすねんがじょう) 少なくなった年賀状 一度、サーと目を通した年賀状は束ねて机上に置いてある。元日の朝届けられてから追加配達された年賀状はほとんどない。時間がないほど忙しい年齢でもなく、出す気…

成人の日

○成人の日の和服の娘Vサイン (せいじんのひのわふくのこVサイン) 成人の日 我々の時代に成人式ってあったのだろうか、まったく記憶にない。成人の日よりもずっと前に大人になり、社会や政治に対して拳を上げていた時代だから、大人になるのに手を取っても…

藪入

○藪入の叔母の包に赤けだし (やぶいりのおばのつつみにあかけだし) 叔母の藪入り 松の内が済むと、叔母が藪入りで戻ってくる。日の明るいうちは目いっぱい婚家の仕事をして実家へ帰る頃はとっぷりと暗い。叔母は提灯を片手に風呂敷包みを抱えてくる。暗い…

女正月

○妻の座の今直虎に女正月 (つまのざのいまなおとらにめしょうがつ)

春光

○春光へ翔びたつ扉開きにけり (しゅんこうへとびたつとびらあきにけり)

松の内

○ひとり居のふくら雀と松の内 (ひとりいのふくらすずめとまつのうち)

初荷

○宮の灯の消えて初荷の四日かな (みやのひのきえてはつにのよっかかな)

初夢

○初夢は「ヘッドライト」の曲のなか (はつゆめに「ヘッドライト」のきょくのなか)

正月

○正月やベンガラ濃の柿右衛門 (しょうがつやベンガラだみのかきえもん)