2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧
○冷むぎや二度殺さるる午後の劇場 (ひやむぎやにどころさるるごごのげきじょう)
○牧神の午睡に甘き未草 (ぼくしんのごすいにあまきひつじぐさ)
○泳ぐ子のかいな美しくの字かな (およぐこのかいなうつくしくのじかな)
○浅漬けの水茄子割けば朝の風 (あさづけのみずなすさけばあさのかぜ)
○穴一つ抜け殻一個蝉しぐれ (あなひとつぬけがらいっこせみしぐれ)
○自転車のキュッキュッと下りる大夕焼 (じてんしゃのキュッキュッとおりるおおゆやけ)
○百物語ひゃくの蝋燭あと一本 (ひゃくものがたりひゃくのろうそくあといっぽん)
○田の闇を祖母の背で見た大花火 (たのやみをそぼのせでみたおおはなび)
○黒葡萄レンブラントの闇を着る (くろぶどうレンブラントのやみをきる)
○デパートの扉まわって大暑の中 (デパートのとびらまわってたいしょのなか)
○丸善の本へ檸檬を置いて去る (まるぜんのほんへれもんをおいてさる)
○蜩の穴ぬけ出て声哀し (ひぐらしのあなぬけいでてこえかなし)
○沖の雲ゆっくり押して梅雨明けぬ (おきのくもゆっくりおしてつゆあけぬ)
○風あれば美しと思ふ夏の月 (かぜあればうつくしとおもうなつのつき)
○二階まで杉の邪魔する遠花火 (にかいまですぎのじゃまするとおはなび) 港まつり 湾つづきの隣町に花火があがった。床に就こうかと思っていたらぽ〜んぽ〜んと音が鳴って 海の方が明るくなったのである。二階のベッドからは、隣町の港は少し東へずれてみえ…
○枇杷の実の色形容ことに尻 (びわのみのいろかたかたちことにしり)
○水中花きのうは昨日きょうは今日 (すいちゅうかきのうはきのうきょうはきょう) 造花はあまり好まない。滅びることのない美は受け入れられないのだ。
○暑さ言う電話の主も裸とか (あつさいうでんわのぬしもはだかとか) もう酷暑 暑い、まだ梅雨も明けていないのに毎日暑い。 しかしまたこの暑さに対して、節電とか倹約するという気持ちの他に何かに挑んでいるような心境も沸いてくるのだ。単に年寄りの冷や…
○砂つけて戻る力士の汗光る (すなつけてもどるりきしのあせひかる) 名古屋場所 4,5年前娘一家の引っ越しを手伝うため、婿のお母さんと二人で荷物の来る前の部屋の掃除に行った。マンションのこととて何もないがらんどうの部屋の掃除は二人で一日もあれば…
○青葉ずく「森のイスキア」灯がともる (あおばずくもりのイスキアひがともる) 佐藤初女さん 「森のイスキア」と言えば青森の弘前で、迷える人々を迎え入れ、食事や宿泊をを共にして話を聞くという場所を佐藤初女さんが提供していた。彼女の普段の食事とお…
○一皿はほろほろ鳥の夏料理 (ひとさらはほろほろどりのなつりょうり)
○四万六千日カプセル暮し哉 (しまんろくせんにちカプセルくらしかな)
○大阪の夕立に走るビリケンさん (おおさかのゆだちにはしるビリケンさん)
○箒草寺継いで撞く今朝の鐘 (ははきぐさてらついでつくけさのかね) 寺の鐘 旦那寺はこの夏に住職が息子の代になった。先々代の時から三代に亘って朝の鐘の音をきいてきたが、同じ鐘でも撞く人によって、それぞれに音色は違って聞こえるものだと思っている…
○争いの渦中に咲けり沙羅双樹 (あらそいのかちゅうにさけりさらそうじゅ)
○簾かけ霞がかった世を見てり (すだれかけかすみがかったよをみてり)
○凌霄花の隣家出て行く担送車 (のうぜんのりんかでていくたんそうしゃ)
○珈琲が焼酎になり哲学論 (こーひーがしょうちゅうになりてつがくろん)
○七月やロックライブは砂を蹴る (ひちがつやロックライブはすなをける
○蛙らの領地定まる半夏生 (かえるらのりょうちだだまるはんげしょう)