2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧
○アマリリス踊る女の首ふとし (アマリリスおどるおんなのくびふとし)
○梅雨深し深しマンタの夢の中 (つゆふかしふかしマンタのゆめのなか)
○湖東行く吾を育てし青田風 (ことういくわれをそだてしあおたかぜ)
○料理屋の水べ涼しき縞太藺 (りょうりやのみずべすずしきしまふとい)
○雀らの斜めに遊ぶ今年竹 (すずめらのななめにあそぶことしだけ)
○泙や鉄砲水にメッカの旅 (うきくさやてっぽうみずにメッカのたび)
○大木を搦め霄さす凌霄花 (たいぼくをからめそらさすのうぜんか)
○明易を目覚めて峠越えており (あけやすをめざめてとうげこえており)
○梅雨長し油絵具の乾き待つ (つゆながしあぶらえのぐのかわきまつ)
○栗の花昔むんむん男の香 (くりのはなむかしむんむんおとこのか)
○紫陽花の木の下闇に烏骨鶏 (あじさいのきのしたやみにうこっけい)
○大雨も梅雨の仕業と思いなす (おおあめもつゆのしわざとおもいなす)
○野の百合の四五本もある庭なりき (ののゆりのしごほんもあるにわなりき) 荒野で悪魔から「この世の栄華をあたえよう」と誘惑されたイエスは「ソロモンの都より谷間に咲く一本の野の百合の方が美しい」と言っている。
○老鶯の拙き声の朝冷ゆる (ろうおうのつたなきこえのあさひゆる) この時期の鶯はもう老鶯と呼ぶのですが、今朝は出した肌が引き締まるような気温で、切通しの木立を出た鶯も春を思い出したのでしょうか。
○沖縄に梅雨あけて扇風機出す (おきなわにつゆあけてせんぷうきだす) テレビで沖縄の梅雨明けが報じられた。いよいよ日本列島に夏本番がやってくる。
○梅雨晴れ間曳売りは魚励ましつ (つゆはれまひきうりはうをはげましつ)
○身代わりの蜥蜴の尻尾くるくると (みがわりのとかげのしっぽくるくると)
○短夜やすぐ乾きたる屋根瓦 (みじかよやすぐかわきたるやねがわら)
○立ち寄りし女人高野は梅雨最中 (たちよりしにょにんこうやはつゆさなか)
○蝸牛雨の日が好きと少年の (かたつむりあめのひがすきとしょうねんの)
○時の日の目覚まし時計ことさらに (ときのひのめざましどけいことさらに)
○夏草や操車場ある無人駅 (なつくさやそうしゃじょうあるむじんえき)
○早苗饗や忍者の里の田風かな (さなぶりやにんじゃのさとのたかぜかな)
○若返りとは逆走のこと霖雨中 (わかがえりとはぎゃくそうのことりんうなか)
○衣替象や麒麟の認知症 (ころもがえぞうやきりんのにんちしょう)
○巣を襲う鴉に結の夏燕 (すをおそうからすにゆいのなつつばめ)
○フエリー降り雨に走れば梅雨入りかな (フエリーおりあめにはしればついりかな)
○夏帽子モハメド.アリの訃を聞きぬ (なつぼうしモハメド.アリのふをききぬ)
○麦秋やイヌ麦もまた熟れにけり (ばくしゅうやイヌむぎもまたうれにけり)
○片陰に車止めたる昼寝かな (かたかげにくるまとめたるひるねかな)