2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

秋灯

◦秋灯や感想文に掴まれり (しゅうとうやかんそうぶんにつかまれり) 夏休み最終日 ◦算術の少年しのび泣けり夏 西東三鬼 これは苦手な算数の宿題にべそをかいている句なのである。今頃、小、中学生のいる家庭ではまさに実体験できる光景ではないだろうか。

猿酒

◦朝三暮四逆さもありて猿酒 (ちょうさんぼしさかさもありてましらざけ) 朝三暮四 猿は餌の木の実を一日7個貰って食べていた。 ある時餌当番は猿を集めて言った。 「お前たちは餌を一度に全部食べてしまうから、これからは朝に3個夕に4個 にしょうと思う…

夏のおわり

◦この雨に夏のおわりを告げられる (このあめになつのおわりをつげられる) 静かな雨 夏の豪雨とも違う静かに語りかけるような雨。夜半まで草むらの鈴虫は鳴くのを止めたり、再び鳴き出したりを繰り返していた。雨の調子が鈴虫を躊躇わせているのであろう。 …

早稲刈る

◦コンバイン音たからかに早稲を刈る (コンバインおとたからかにわせをかる) コンバインの稲刈り 上の田圃の稲にコンバインが入った。コンバインは農協から派遣された職員が運転して、家族は全員その大掛かりな機械の回りについて歩いていた。子や孫のあげ…

秋の蝉

◦大阪弁やっぱり哀し秋の蝉 (おおさかべんやっぱりかなしあきのせみ) 「火花」読む 大阪弁にどっぷり浸かった。郷愁のようなものが甦ってきて、やっぱり私の体内にも大阪人の血が、まだ消えずに流れていたのだと思った。 いっぱしの漫才師をめざして夢を語…

西瓜

◦漂える西瓜畑の太陽系 (ただよえるすいかばたけのたいようけい) 西瓜届く 外出から戻ってみるとかわいい西瓜が2個、日除の中の縁の上に置かれていた。混沌さんの畑の収穫物であった。甘さは今一というところだが、種の多さには驚くほど閉口する物だった…

初嵐

◦初あらし米味噌醤油整へる (はつあらしこめみそしょうゆととのえる) ジェーン台風(1950年) 小学校1年生の時に、ジェーン台風というのが来た。調べてみると9月3日に徳島県に上陸して兵庫(神戸)から若狭湾へ抜けるコースをとっている。三百人を越…

秋耕

◦秋耕の雨疑わず畝作る (しゅうこうのあめうたがわずうねつくる) 台風15号 台風15号と16号が南の海上にいて、16号の方は小笠原諸島を北上して次第に遠ざかっていく見込みらしいが、15号の方は沖縄辺りを北に進んであさってには九州に上陸する可…

赤梨

◦赤梨の不器量なだけ情に濃し (あかなしのぶきりょうなだけじょうにこし) 幸水がいい味 梨も結局は剥かないうちに帰って行った。(帰省子) 梨には赤梨、青梨という呼び方があるらしい。赤梨は比較的初季に出回る長十郎や幸水、豊水などを、青梨子は二十世…

貝割菜

◦貝割菜いち列にみな土つかむ (かいわりないちれつにみなつちつかむ) 冷蔵庫の貝割菜 秋の季語に詠まれている貝割菜は、今頃蒔かれる大根の種に芽が出て双葉になったものである。だからパックに入った、もやしと同じように年中栽培されている貝割菜は俳句…

鬼灯

◦鬼灯を追い羽根のごと裂きにけり (ほおずきをおいばねのごとさきにけり) 母子Uターン 鬼灯は子供の頃、滋賀の畑の片隅に毎年みたものであった。それはダリアや百日草などと離れて植えられてあって、いつまでも畑に放ってあった。ホオズキは字のように鬼の…

黒葡萄

◦黒葡萄残して子らはUターン (くろぶどうのこしてこらはUターン) 果物の高値 今年の果物の高値には驚いた。 話したいことがあったのに話さないうちに帰って行った。この数年は帰った後でそんな気持ちになる。

赤とんぼ

◦赤とんぼ帰省したりUターンしたり (あかとんぼきせいしたりUターンしたり) 雨にのんびり

日雀

◦日雀なく窓は一日開けてある (ひがらなくまどは一にちあけてある) 「日の出」製麺うどん 婿はどうしても今日中に帰らなければと言うので、坂出の「日の出」製麺所のうどんを案内した。11時の開店に合わせて高速を走らせたが、店の前にはすでに二重の列…

◦蜩のひんやり遠き朝かな (ひぐらしのひんやりとおきあしたかな) 娘一家帰省

新涼

◦新涼やベストエイトが甲子園 (しんりょうやベストエイトがこうしえん) 甲子園ベスト8今日決まる 混沌さん(近所の茶飲み友達)柴餅をもって久しぶりにやって来た。冷たい珈琲で柴餅を食べながら彼女の話しにしばし耳を傾ける。 彼女には3人の子供がいて…

終戦日

◦野球観る父子の背中終戦日 (やきゅうみるおやこのせなかしゅうせんび) 終戦70年 70年前の戦争終結があったからこそ、今日の平和を享受することが出来ている。きのうの安倍総理の「戦後70年談話」は日本人として、1億2700万人の長い反省の気持…

夜釣り

◦磯浦の人に恐れる夜釣かな (いそうらのひとにおそれるよづりかな) 新涼 朝方の涼しさといったら、掛け布を引き寄せるほどであった。 夜に発表された「戦後70年安倍談話」では 先の戦争を「侵略」としてお詫びし、今後国際紛争を解決する手段としての武…

夜盗虫

◦夜盗虫世直しせんと焼かれけり (よとうむしよなおしせんとやかれけり) 秋邨の句 ◦今死ぬにころころ肥えし夜盗虫 加藤楸邨

夜の秋

◦サルトルの本の埃や夜の秋 (サルトルのほんのほこりやよるのあき) 虫の音 夜は涼風が入って来て、虫の音が本格的になった。夏と秋の狭間なのだろう。秋は夜から始まるのかもしれない。折角気持ちよく目が覚めたことだし、机の灯をつけて座ってみた。 ◦夜…

地の旱

◦おろおろと賢治が歩く地の旱 (おろおろとけんじがあるくちのひでり) 川内原発(鹿児島県) 川内原発一号機に、原子炉の起動が行われ再稼働した。 福井県の大飯原発が一昨年の9月に最後の原発として停止して以来1年9ヶ月ぶりの原子力発電となった。

大旱

◦大旱人の死告ぐる日が続く (おおひでりひとのしつぐるひがつづく) 世界の異常気象 旱魃でパナマ運河の水位が下がって船舶の通行が規制。 中米のパナマ運河の流域では、南米ペルーの赤道付近の海面水温が平年より高くなる「エルニーニョ現象」の影響で今年…

夏おわる

◦ナガサキの子は次男二女夏おわる (ながさきはじなんにじょなつおわる) 長崎原爆の日 長崎原爆記念式典で田上長崎市長は「日本国憲法における平和の理念は、つらく厳しい経験と戦争の反省の中から生まれ、70年前に心に刻んだ誓いである。長崎にとっても…

扇風機

◦真夜中の悪夢に回る扇風機 (まよなかのあくむにまわるせんぷうき) 熱帯夜 相変わらず連続の猛暑日は更新をつづけている。東京では熱中症のため高齢の3姉妹一家が全員部屋で亡くなっているのが発見された。窓は締め切ったうえクーラーも点けていなかった…

蝉しぐれ

◦蝉しぐれ生命の腑が鳴いている (せみしぐれいのちのはらがないている) 夏が好き 机に座っていると蝉しぐれが腑に響いてくる。それは命の躍動のように思えた。私はふと、この夏が好きだったことを思い出す。いつの間にか私の内の魂が弱ってしまって躍動に…

原爆忌

◦原爆忌腐る連鎖を脱けられず (げんばくきくさるれんさをぬけられず) 戦後70年の総括 今月安倍総理は「戦後70年談話」を発表する。それにさきがけて有識者懇談会が報告書を安倍首相に手渡した。日本の民意?談話のトラの巻とも言えるものだろうか。 「…

◦訪われれば今裸やと応うのみ (とわれればいまはだかやとこたうのみ) 八日連続猛暑日 家の近くに同年輩のお茶飲み友達(混沌さん)がいて週2、3回はやって来る。この暑さの中では受け入れて会話をするのが億劫になる事もしばしば。 自分は今、芭蕉と蕪村…

西日

◦西日射すここに座って居るからね (にしびさすここにすわっているからね) 混沌さん 100分で名著というNHKの番組をDVDに撮ってもらっているのだが、その中で荘子が扱われていた。イソップを想わせるような寓話や、えらく碎けた言葉で禅的思想が語られて…

夏休み

◦暗号文作ってみたり夏休み (あんごうぶんつくってみたりなつやすみ) 黄金虫の暗号 ポオの黄金虫を読んだ。2、3年前にもやはりこんな暑い時季に読んでいる。冒険や探検につきものはパナバ帽と半ズボン、それに南海の孤島が定番である。 ところが、ポオの…

蟻地獄

◦初まりはお天気のことなど蟻地獄 (はじまりはおてんきのことなどありじごく) 連日猛暑 朝は4時過ぎから蝉が鳴き出す。この間までは囀りが賑やかに目覚めを促したものだった。四季折々何かしらが生活の変化を知らせてくれるのは自然が豊かにある証拠なの…