2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧
◦天牛のキチキチ鳴くや身をふって (かみきりのキチキチなくやみをふって)
◦とんぼうの世に号外か右往左往 (とんぼうのよにごうがいかうおうさおう)
◦子蟷螂お尻を立てデビューの日 (ことうろうおつべをたててデビューのひ)
◦蜘蛛の巣や朝露おけば銀の城 (くものすやあさつゆおけばぎんのしろ)
◦やごの名を孫太郎虫と言われしが (やごのなをまごたろうむしといわれしが)
◦羽蟻千松の廊下のお家騒動 (はありせんまつのろうかのおいえそうどう)
◦広告のメモ持って出る梅雨晴れ間 (こうこくのメモもってでるつゆはれま)
◦梅雨茸の煙のごときこの世かな (つゆだけのけむりのごときこのよかな)
◦夏至の日の港に猫の昼寝かな (げしのひのみなとにねこのひるねかな)
◦父の日や父居て胸の詰まりし日 (ちちのひやちちいてむねのつまりしひ)
◦さくらんぼ食べに来いよと言う電話 (さくらんぼ食べにこいよというでんわ)
◦太宰忌や九十の叔母のデカダンス (だざいきやくじゅうのおばのデカダンス)
◦十薬や地下道迷い出て白し (じゅうやくやちかどうまよいでてしろし)
◦ゴミの日の鴉追う日や梅雨曇 (ゴミのひのからすおうひやつゆぐもり)
◦梅雨最中写経に墨の香を満たす (つゆさなかしゃきょうにすみのかをみたす)
◦夏衣わが身に合わす崩れかな (なつごろもわがみにあわすくずれかな)
◦父の日の一日を父は無精髭 (ちちのひのひとひをちちはぶしょうひげ)
◦夏風邪の癒えて朝餉の清々し (なつかぜのいえてあさげのすがすがし)
◦胸の上へ荘子の本の午睡かな (むねのえへそうしのほんのごすいかな)
◦山脈の分水嶺を梅雨の旅 (さんみゃくのぶんすいれいをつゆのたび)
◦花卯木近親婚の村を行く (はなうつぎきんしんこんのむらをいく)
◦山梔子の崩れる前の薫濃し (くちなしのくずれるまえのかおりこし)
◦紫陽花の雨撥ね上げて咲きにけり (あじさいのあめはねあげてさきにけり)
◦梅雨冷や身の上話湯やに聞く (つゆびえやみのうえばなしゆやにきく)
◦枇杷の実や荘子の種の大きけり (びわのみやそうしのたねのおおきけり)
◦玉葱の虐殺されしごと並ぶ (たまねぎのぎゃくさつされしごとならぶ)
◦朝凪やクレーン船の荷揚げ待つ (あさなぎやクレーンせんのにあげまつ)
◦紡錘に×の字描いて枇杷の尻 (ぼうすいにぺけのじかいてびわのしり)
◦衣替えて老躯小さくなりにけり (ころもかえてろうくちいさくなりにけり)
◦朝凪やクレーン船の荷揚げ待つ (あさなぎやクレーンせんのにあげまつ)