2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

五月尽

◦田のことは孫が聞くなり五月尽 (たのことはまごがきくなりごがつじん)

青梅

◦青梅の移ろひて往く心かな (あおうめのうつろいていくこころかな)

初夏

◦初夏や開け放ちたる家に嚔 (はつなつやあけはなちたるやにくさめ)

夏燕

◦夏燕リピュウリピュウと子に急ぎ (なつつばめリピュウリピュウとこにいそぎ)

植田

◦帰郷して植田代田の斑中 (ききょうしてうえたしろたのまだらなか)

短夜

◦短夜を野に寝る朝の蚊遣かな (みじかよをのにねるあさのかやりかな)

雲の嶺

◦山頭火あの雲の嶺越えて八女 (さんとうかあのくものみねこえてやめ)

麦実る

◦眉太き薩摩隼人や麦実る (あごふときさつまはやとやむぎみのる)

夏草

◦夏草や無人駅舎と田原坂 (なつくさやむじんえきしゃとたばるざか)

薄暑

◦小倉駅うら豚骨の香に薄暑 (こくらえきうらとんこつのかにはくしょ)

朱欒(ざぼん)

◦朱欒咲く梅雨の走りであるらしき (ざぼんさくつゆのはしりであるらしき)

花くぬぎ

◦稚児の帯だらりと垂るる花くぬぎ (ちごのおびだらりとたるるはなくぬぎ)

三尺寝

◦三尺寝ゆめに引き摺る大ふぐり (さんじゃくねゆめにひきずるおおふぐり)

昼寝覚

◦昼寝覚また漏れ出すや汚染水 (ひるねさむまたもれだすやおせんすい)

夏来たる

◦岸壁に車並びて夏来たる (がんぺきにくるまならびてなつきたる)

青嵐

◦青嵐二日狂った後の雨 (あおあらしふつかくるったあとのあめ)

蚕豆

◦蚕豆の祈りし空の青嵐 (そらまめのいのりしそらのあおあらし)

黒南風

◦黒南風の北と南へ瀬戸分かつ (くろはえのきたとみなみへせとわかつ)

雉子

◦ジャガイモの葉に尾を隠し雉子歩む (じゃがいものはにおをかくしきじあゆむ)

実えんどう

◦絹莢や女の一生実えんどう (きぬさややおんなのいっしょうみえんどう)

母の日

◦母の日の包み小さきハニーかな (ははのひのつつみちいさきハニーかな)

山椒の実

◦先生の渾名懐かし山椒の実 (せんせいのあだななつかしさんしょのみ)

豆飯

◦娘の嫌ふ豆飯炊いて一人かな (このきらうまめめしたいてひとりかな)

◦殻割って殻に還れぬ燕かな (からわってからにかえれぬつばめかな)

夏潮

◦夏潮や水軍現れし島の影 (なつしおやすいぐんあれししまのかげ)

矢車

◦矢車のカラカラ鳴りて残さるる (やぐるまのカラカラなりてのこさるる)

薄暑光

◦薄暑光パウロの書読む庭の卓 (はくしょこうパウロのしょよむにわのたく)

夏来たる

◦褌の北斎まんが夏来たる (ふんどしのほくさいまんがなつきたる)

短夜

◦短夜の蛙夜毎の盛りかな (みじかよのかわずよごとのさかりかな)

五月の風

◦観覧車五月の風と入れ替わる (かんらんしゃごがつのかぜといれかわる)