2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

秋憂う

◦海の蒼より蒼深く秋憂う (うみのあおよりあおふかくあきうれう)

◦ノクターン奏でる家の芒かな (ノクターンかなでるいえのすすきかな)

蘆火

◦ぎしぎしと鬼が臼挽きゃ蘆火立つ (ぎしぎしとおにがうすひきゃあしびたつ)

秋茜

◦秋茜カインの末裔にて了る (あきあかねカインのまつえいにておわる)

蕎麦の花

◦蕎麦の花牛の額の俯きぬ (そばのはなうしのひたいのうつむきぬ)

秋の昏

◦鬼の目の何ぞ赤きや里の秋 (おにのめのなんぞあかきやさとのあき)

秋天

◦秋天へ寂光の家うち出よ (しゅうてんへじゃっこうのいえうちいでよ)

秋彼岸

◦緋の衣にも寂光の彼岸花 (ひのころもにもじゃっこうのひがんばな)

曼珠沙華

◦地の底の明王の炎や曼珠沙華 (ちのそこのみょうおうのひやまんじゅしゃげ)

秋燕

◦秋燕一羽一羽の別れかな (あきつばめ一わ一わのわかれかな)

秋彼岸

◦散骨の山河仰ぎて秋彼岸 (さんこつのさんがあおぎてあきひがん)

登高

◦登高や幸せの国に骨撒かむ (とうこうやしあわせのくににほねまかん)

芒穂

◦芒穂のみんな後背頂きて (すすきほのみんなこうはいいただきて)

山澄む

◦山澄むや今朝ま新し季を得し (やますむやけさまあたらしときをえし)

敬老日

◦猿山におから投げらる敬老日 (さるやまにおからなげらるけいろうび)

野分

◦野分くる兆しの中に墓閉じる (のわきくるきざしのなかにはかとじる)

鹿

◦迷い道とまどう鹿の目と逢ひぬ (まよいみちとまどうしかのめとあいぬ)

狭霧

◦落葉松の実の細長き狭霧かな (からまつのみのほそながきさぎりかな)

秋の山

◦蔵王いま片肌だして秋の山 (ざおういまかたはだだしてあきのやま)

月光

◦安達太良の月光白し智恵子抄 (あだたらのげっこうしろしちえこしょう)

秋夕

◦露天湯を背中に分ける秋夕 (ろてんゆをせなかにわけるあきゆうべ)

虫なく

◦旅の夜のコインランドリー蟲となく (たびのよのコインランドリーむしとなく)

秋の夜

◦秋の夜を旅に寝て聴く草の虫 (あきのよをたびにねてきくくさのむし)

◦丼に秋の獲物を盛りにけり (どんぶりにあきのえものをもりにけり)

秋高し

◦秋高し帆立ふとらす地震の海 (あきたかしほたてふとらすないのうみ)

秋の波

◦青函の空海ひとつ秋の波 (せいかんのそらうみひとつあきのなみ)

秋刀魚

◦海鳥に海の境界さんま船 (うみどりにうみのきょうかいさんません)

秋風

◦樺太の秋風強し間宮像 (からふとのあきかぜつよしまみやぞう)

秋雨

◦秋雨や警笛に行く佐渡の沖 (あきさめやけいてきにいくさどのおき)

二百十日

◦横雨の二百十日の鳥騒ぐ (よこあめのにひゃくとおかのとりさわぐ)