2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

秋の雨

◦旅の荷を左右に分ける秋の雨 (たびのにをさゆうにわけるあきのあめ)

芋嵐

◦市の警報に鉢入れて芋嵐 (しのけいほうにはちいれていもあらし)

とんぼう

◦とんぼうの祈る姿して死にけり (とんぼうのいのるすがたしてしにけり)

ひつじ雲

◦ひつじ雲ジブリ映画の茜色 (ひつじぐもジブリえいがのあかねいろ)

猫じゃらし

◦猫の尾や風が踊らす猫じゃらし (ねこのおやかぜがおどらすねこじゃらし)

秋茄子

◦秋茄子の尻まで浸かる膏雨かな (あきなすのしりまでつかるこううかな)

新涼

◦新涼や母を追慕の一夜得て (しんりょうやははをついぼのいちやえて)

秋の声

◦秋の声恋の目覚めをペイネの絵 (あきのこえこいのめざめをペイネのえ)

処暑

◦処暑の今朝ざこ獲る船の蛇行かな (しょしょのけさざことるふねのだこうかな)

蟋蟀

◦蟋蟀のきのうより伸ぶビブラート (こおろぎのきのうよりのぶビブラート)

◦裏口を葛がのっとる裏見草 (うらぐちをくずがのっとるうらみぐさ)

露草

◦露草の花粉に合わす顕微鏡 (つゆくさのかふんにあわすけんびきょう)

秋の虫

◦移し替へあの夜を分つ秋の虫 (うつしかえあのよをわかつあきのむし)

残暑

◦残暑なを息するための水を呑む (ざんしょなおいきするためのみずをのむ)

秋の風

◦子等されば障子の破れに秋の風 (こらさればしょうじのやれにあきのかぜ)

生き身魂

◦まろび寝の枕ささるる生き身魂 (まろびねのまくらささるるいきみたま)

◦けさ山の蜩なけば子ら去ぬる (けさやまのひぐらしなけばこらいぬる)

秋立ちぬ

◦秋立ちぬ子ひとり孫もひとり哉 (あきたちぬこひとりまごもひとりかな)

夜の秋

◦子の腹へタオル置きけり夜の秋 (このはらへタオルおきけりよるのあき)

青鷺

◦青鷺の汐へ棹さし真向かひぬ (あおさぎのしおへさおさしまむかいぬ)

空蝉

◦空蝉や少年の翅は乾きぬ (うつせみやしょうねんのはねはかわきぬ)

天花粉

◦蒙古斑きえしか君の天花粉 (もうこはんきえしかきみのてんかふん)

夏座敷

◦百畳に声の走りし夏座敷 (ひゃくじょうにこえのはしりしなつざしき)

船虫

◦船虫やそのみがるさに溺れける (ふなむしやそのみがるさにおぼれける)

小百合

◦八月の線路曲がって鉄砲百合 (はちがつのせんろまがっててっぽうゆり)

海月

◦袈裟懸けの海月の疵も数多かな (けさがけのくらげのきずもあまたかな)

油蝉

◦作文の少年泣かす油蝉 (さくぶんのしょうねんなかすあぶらぜみ)

百足

◦肝試し帰省子の夜の大百足 (きもだめしきせいしのよのおおむかで)

裸の子

◦裸の子正座して墨付けにけり (はだかのこせいざしてすみつけにけり)

飛び込む

◦漆黒の少年ひかり飛び込みぬ (しっこくのしょうねんひかりとびこみぬ)