2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧
◦六月の突き上げて来て五月往く (ろくがつのつきあげてきてごがつゆく)
◦海に出て海を剥ぎゆく青嵐 (うみにでてうみをはぎゆくあおあらし)
◦糸杉の影を巻きたる夏の月 (いとすぎのかげをまきたるなつのつき)
◦向日葵の空閉ざされて苦悶する (ひまわりのそらとざされてくもんする)
◦麦秋の嵐に向かふ鴉哉 (ばくしゅうのあらしにむかうからすかな)
◦田下駄吊る軒が百年語りだす (たげたつるのきがひゃくねんかたりだす)
◦凌霄に隠れゆく日も面白し (のぜんにかくれゆくひもおもしろし)
◦箱庭の戸の開いてわれの立ちたり (はこにわのとのあいてわれのたちたり)
◦この三日弄ばれて五月蠅 (このみっかもてあそばれてごがつばえ)
◦張り替えて網戸に瀬戸の潮通る (はりかえてあみどにせとのしおとおる)
◦娘のでんわ短く切れば夏の鳥 (このでんわみじかくきればなつのとり)
◦ねむり猫四百年の午睡かな (ねむりねこよんひゃくねんのごすいかな)
◦象潟や芭蕉も詠めり合歓の花 (きさかたやばしょうもよめりねむのはな)
◦安曇野の果の高さや桐の花 (あずみののはてのたかさやきりのはな)
◦緑陰や華厳の瀧に蕎麦啜る (りょくいんやけごんのたきにそばすする)
◦朝焼けや菜殻の中の千曲川 (あさやけやながらのなかのちくまがわ)
◦日光に遠足の子や龍が鳴く (にっこうにえんそくのこやりゅうがなく)
◦りんご咲く樹の下に入りポーズかな (りんごさくきのしたにいりポーズかな)
◦椎若葉金色堂に六地蔵 (しいわかばこんじきどうにろくじぞう)
◦母の日や姨捨山を見て野宿 (ははのひやおばすてやまをみてのじゅく)
◦庄内の千畳の田の蛙鳴く (しょうないのせんじょうのたのかえるなく)
◦北信濃一茶が故郷の田植哉 (きたしなのいっさがくにのたうえかな)
◦象潟や白鼻の稚児が花祭り (きさかたやはくびのちごがはなまつり)
◦短夜やアイマスクして朝を寝る (みじかよやアイマスクしてあさをねる)
◦万緑や終末論を聞いて居り (ばんりょくやしゅうまつろんをきいており)
◦往く春や巣の子は日々を伸び上がる (ゆくはるやすのこはひびをのびあがる)
◦矢車の音のみ残る子供の日 (やぐるまのおとのみのこるこどものひ)
◦物を言う女の口や馬酔木咲く (ものをいうおんなのくちやあせびさく)
◦囀や九条は守り抜くべし (さえずりや九じょうはまもりぬくべし)
◦猫の子や異母一族もおなじ庭 (ねこのこやおぼいちぞくもおなじにわ)